これからのヨグ=サロン様の話をしよう

Hearthstoneについての自由帳

HS殺人事件!! HSの親が「再現性」によって殺された!?

(1)前書き

もう何年間同じゲームを続けているだろう。

もう何時間同じゲームをプレイしているだろう。

 

ハースストーン(Hearthstone)』はブリザード・エンターテイメントが開発したデジタルコレクティブルカードゲーム(CCG)。2013年の3月にPenny Arcade Expoにて発表され、2014年3月11日にリリースされた。 『ウォークラフト』シリーズの世界観を背景とする、デジタルカードゲームとして開発された。リリース当初の名称は『Hearthstone: Heroes of Warcraft』であった。

ハースストーン - Wikipedia

 

リリース当初からハースストーンをプレイしている方なら8年。

ピカピカのランドセルを背負った小学一年生が、青春真っ盛り甘酸っぱい思い出や消したい黒歴史を積み重ねる中学三年生になる年月。小学一年生から中学三年生まで同じゲームを続けている人なんていない。

いないよね?

 

私も今まで何度も「ハースストーンも飽きてきたな、ほかのゲームしてみよう」と浮気心を出しながら、「なんかしっくりこないな、ハースストーンでもするか」と甲斐性のない亭主のように復縁を繰り返しています。

何年も遊び続けられるほどに、ハースストーンは面白い。

それは一重に面白さを更新し続けてくれているゲームデザインチームのおかげでしょう。不満はないわけではないですが、なんだかんだこんなに長い時間遊べているのは彼らのおかげなのは間違いありません。大事なことなので二回言いますが、不満はないわけでは、ないですけどね。

 

最近のゲームデザインの方針として、「再現性」と「ゲームコントロール感覚」の二つが両輪となっているように感じています。後者はまた後日機会を見て取り上げるとして、今回はテーマは「再現性」です。

 

ここでタイトルに帰ってきます。

意味不明なタイトルの意味を解説しておきましょう。

 

「デザインチームは『再現性』を親の仇のように嫌っている」

 

 

(2)「再現性」とは

これだけ長く続けば、プレイヤー側には当然「飽き」が生じてくるのは仕方のないことです。飽きてしまえば当然人は去ってしまう。それを恐れてハースストーンは常に新しいゲーム体験を提供することを目指しています。同じことが繰り返されない=「再現性」の否定、によってプレイヤーを飽きさせないことが、デザインチームの最優先課題です。(と私は感じています)

 

「再現性」は「長期的再現性」と「短期的再現性」の二つに分けられます。

分かりやすく言えば、

「長期的再現性」・・・やってること〇〇年前と同じやんけ!?

「短期的再現性」・・・毎ゲームやってること同じやんけ!?

の二種類です。

 

 

(2)ー(A)「長期的再現性」

例えば最近フェイスハンターが復権していましたが、「野生精種」という新しいシステムをメインに据えています。野生精種がどれほどのポテンシャルを持っているのか、ワクワクした方も多いのではないでしょうか。

野生の精霊

 

これがいまだに「レプラノーム」や「獣の相棒」で戦っているようではさすがに面白くありません。ハファーにお祈りするのは平成でやりつくしました。もういいでしょう。レオック、お前は呼んでないって何度言ったらわかるんだ、帰ってくれ、野生に。

 

獣の相棒

 

また、デザインチームお気に入り、「クエスト」が過去四度も登場してるのはこの理由です。「クエスト」はゲームプレイの全く新しい指針を提示するので、長期的再現性の否定という意味では最高のシステムです。同じミニオンを何度も手札に戻して出したり、自分の体力を自分で削り続けたり、「クエスト」がなければ存在しなかった、全く新しいゲーム体験を提供します。

地底の大洞窟

 

悪魔の種

 

 

(2)ー(B)「短期的再現性」

もし毎回デッキ30枚から好きなカードを選べるなら、毎ゲームほとんど同じゲーム展開ができるでしょう。インプウォーロックで毎回「むしゃくしゃ司書」「悪徳の図書室」「悪鬼の輪」のロケットムーブを決めるのはちょっと楽しそうですが、同じことの繰り返しではやはり飽きてきそうです。カードゲームはそうならないようにドローというランダム性で選べるカードを制限することで、毎回のゲーム展開を違ったものにして、飽きにくいようにしています。

ハースストーン特有のRNG要素も毎回違ったゲーム展開を演出します。一番顕著な例は「発見」に代表されるカード生成効果です。

再起

大当たり!

 

カード生成効果はあまりにも多すぎて今年からその数は減らすようになりました。あまりにも多かったということは、短期的再現性を否定できるこのシステムの価値が高かったということを意味しています。毎回違ったゲーム展開を楽しめる、デザインチームはこの観点を最大限重視しています。

過去に何度も登場している「ハイランダー(デッキに重複するカードがない場合発動する)」「進化」も同じ理由です。デッキが全部一枚ずつであれば、毎回様々なカードを使うことになりますし、進化で出てくるミニオンなんて毎回毎回バラバラです。

 

レノ・ジャクソン

 

進化

 

最近登場した「レナサル太子」による40枚デッキも、デッキ枚数を増やすことで採用カードの種類を増やし、「短期的再現性」の低下を目指しています。そういった目的が裏にあるため、こんな効果も出るかもしれないとよく挙げられる、「デッキを20枚にして体力20スタートにする」カードは絶対にでてこないと断言できます。「短期的再現性」を助長するようなことは、今までのゲームデザインの方針と矛盾するからです。おそらく、40枚デッキは「ハイランダー」と同じように何度も登場する半レギュラーシステムになると思われます。上述の通り、「短期的再現性」を低下させるシステムは何度も再登場してきた歴史があります。「40枚にすることでクエストがゲーム開始時からセットされる」新型クエストや、「40枚にすることで特殊なヒーローパワーに変更できる」新型ヒーローカードなどが、「レナサル太子」退場後にでてくるのではないかと予想しています。

 

レナサル太子

 

 

(2)ー(C)二つの再現性への同時対策

今までの説明で、デザイン陣が二つの「再現性」への対策に終始してきたことが伝わったと思います。

その二つを同時に対策できるなんて、夢のような話が実はあるんです。

 

カザカサンレディ・プレスター狂気のデッキ

 

「宝物」デッキで戦うなんて今までありませんでしたよね。今まで存在しなかった新しいゲーム体験は「長期的再現性」対策にバッチリです。また、毎回違う「宝物」が提示されるので毎回違ったゲーム体験となるため「短期的再現性」対策もバッチリ。残りの二枚についても理由は同じです。

 

これらのカードこそプレイヤーを飽きさせない完璧なゲームデザインです!!

やったぜ!!!

ハースストーン最高!! アヤラ最高!!

 

 

 

 

 

 

本当にそうか?

 

 

(4)総括

皆さんはこれらのカードデザインにどうような評価を持っているでしょう。賛否両論あるかとは思います。

ちなみにあえて個人的な評価を言わせてもらえば、私は気に食わないです。

私と同じようにこれらのカードデザインが気に食わない方は、当然次の疑問に行き着くはずです。

 

 

そもそも、「再現性」を否定することはそんなに重要なことなのだろうか?

 

 

上記の説明からすれば、囲碁、将棋、チェス等は「再現性」の塊です。では囲碁は同じゲーム展開の繰り返しでプレイヤーはすぐ飽きてやめてしまったのでしょうか。今日まで何百年続く囲碁の発展の歴史を見るに、そんな問いは愚問でしょう。

新弾を常に売り続けなければいけないTCGとでは事情が違うのはありますが、「再現性」の有無がゲームの魅力の全てではありません。

 

至極当然、単純な話として、一番はゲームが面白いかどうかです。

 

面白いかどうかはそれぞれの主観によるものでデザインチームからしたら頭の痛い問いでしょう。それがわかれば苦労はしません。
それでも、今年に入ってカード生成効果が減ったり、「吸魂」によって盤面の重要性が増したり、「狂乱公爵シオター」によってOTKへの牽制を用意したり(「シオター」の是非についてはここでは棚上げします)、デザイン側はプレイヤーの意見を聞きながら答えの見えない問いに挑戦している姿勢はうかがえます。

期待しましょう。

大事なことなので三回も言っちゃいますが、不満がないわけではないですけどね。

 

 

最後にここまで読んでいただいたささやかなお礼として、「再現性」というデザイン観点から推測できる次回のナーフ予想をこっそりお教えします。

 

ネクストナーフズヒント!!

 

 

え、知ってた!?