これからのヨグ=サロン様の話をしよう

Hearthstoneについての自由帳

ハースストーンにおけるナーフは「悪」なのか

2021年1月9日スタンダードのバランス調整が行われ、「エドウィン・ヴァンクリーフ」「ボグスパイン・ナックル」に下方修正(ナーフ)が入りました。

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中でも「エドウィン」についてはハースストーン初期からローグの代表カードとして使われ続けたカードのため、賛否両論様々な意見を見かけました。(「ポグスパイン・ナックル」については反対を見かけませんでした。)

 今回のナーフにかこつけて、ハースストーンにおけるナーフはどうあるべきか、私見を語らせていただきます。結論からいうと私はナーフ大歓迎派です。そのことを踏まえた上で、気が向けばおつきあいください。

 

 

 ナーフについて語る前に、まず前提としてその歴史を振り返ってみましょう。個別のカードについて語ることが目的ではないので、詳しくは触れず、拡張ごとに整理しました。殿堂入りは含まれていません。記載漏れがあれば教えてください。

 

<基本>14枚

飢えたハゲタカ、ウォーソングの武将、狩人の狙い(二回)、止めの一撃、岩穿ちの武器、突撃、烈火の戦斧、錬気、呪術、野生の繁茂、炎の舌のトーテム、アルドラキ・ウォーブレード、グレイヴの達人、生贄の契約

<クラシック>25枚

猟犬を放て、イーグルホーン・ボウ、リロイ・ジェンキンス、照明弾、ガジェッツァンの競売人、魂の炎、知識の古代樹、自然の援軍、木立の番人、鉄嘴のフクロウ、大物ハンター、千刃乱舞、ナイフ・ジャグラー、レプラ・ノーム、魔力のゴーレム、溶岩の巨人、変装の達人、鬼軍曹、マーロックの戦隊長、マナ・ワーム、滋養、冷血、平等、段取り、エドウィン・ヴァンクリーフ

<ナクスラーマスの呪い>1枚

墓堀り人

<ゴブリンVSノーム> 0枚

<ブラックロックマウンテン> 0枚

<グランドトーナメント> 2枚

タスカーのトーテム師、アヴィアナ

<探検同盟>1枚

ナーガの海の魔女

<旧神のささやき>2枚

荒野の呼び声(解除) 、希望の終焉ヨグサロン(解除)

<ワンナイトインカラザン> 2枚

精霊の爪、バーンズ

<仁義なきガジェッツァン> 3枚

ちんけなバッカニーア、海賊パッチーズ、縛鎖のラザ(解除)

<大魔境ウンゴロ> 3枚

地底の大洞窟(二回)、ブラッド・ブルーム、ウェイゲートの開門

<凍てつく玉座の騎士団> 4枚

拡がりゆく虫害、ボーンメア、サロナイト鉱山の奴隷、吸血毒

<コボルトと秘宝の迷宮> 7枚

回廊漁り虫、性悪な召喚師(解除)、暗黒の契約、取り憑かれた従者、動員、レベルアップ!、エメラルドの小呪文石(解除)

<妖の森ウィッチウッド> 0枚(奇数偶数の殿堂入り8枚)

<博士のメカメカ大作戦> 5枚

含み笑う発明家、無謀な実験者、狂気の天才ドクターブーム、ルナのポケット銀河系、倍増する腕

<天下一ヴドゥ祭> 1枚

ぶんどり部隊

<爆誕!悪党同盟> 4枚

悪党同盟の悪漢、文書管理人エリシアーナ、召術師の招来、下水すすりのゲス(解除)

<突撃!探検同盟> 4枚

魔古の肉細工師、竜の女王アレクストラーザ、血盟の傭兵、恐竜使いブラン

<激闘!ドラゴン大決戦> 9枚

堕落した精霊使い、無謀の変性者、ネクリウムの薬師、イカリ、破滅の御子、霜の加護、悪鬼の秘跡、竜牙の精霊、悪運アホウドリ

<ガラクロンドの目覚め>1枚

飢える陰獣フェルウィング

<灰に舞う降魔の狩人> 14枚

グルダンの髑髏、封印されしアンタイン、ケルサス・サンストライダー(二回)、憤怒のプリーステス、真紅の秘紋の使い走り、悪魔変身、クズ拾いの工夫、影宝石商ハナー、脳天直撃ガール、封印されしスクラップ・インプ、血気の拳鬼、闇の睨視者、魔力喚起、ボグスパイン・ナックル

<新参・デーモンハンター>5枚

魔眼光、異端者アルトルイス、バトルフィーンド、二連斬、斬舞

<魔法学院スクロマンス>7枚

精神与奪者イルシア、秘密の通路、転生ソラリアン、カバルの侍祭、魂石砕きのミスティック、貪欲な読書家、伝承守護者ポルケルト

<ダークムーンフェアへの招待状>1枚

ドレッドロード・バイト

 

①ナーフがなぜ増えているのか

 上記のナーフ一覧を見ると明らかに最近ナーフが増えているのが分かります。その数だけを見て「調整チームが悪化している」と論ずることはできません。「激闘ドラゴン大決戦」から「カード調整のアプローチサイクルを変えた」といった趣旨の発言が公式から出ていました。是非はともかくとして、ナーフを前提としたデザインへとあえて変化させたと個人的には認識しています。マンモス年(大魔境ウンゴロ、凍てつく玉座の騎士団、コボルトの秘宝の迷宮)に多くのナーフ(14枚)を出してしまった反省から、ワタリガラス年(妖の森ウィッチウッド、博士のメカメカ大作戦、天下一ブドゥ祭)はかなりナーフを減らしてきていますが(6枚、その内2枚はドラゴン年にバフされたカード)、この年のセットは奇数偶数を除くと全体としてかなり力弱かった印象です。天下一ブドゥ祭でほとんど環境に変化がなかったことが記憶に新しいのではないでしょうか。ナーフが多かったマンモス年、ナーフを減らそうとしてセットの魅力が損なわれたワタリガラス年を踏まえて、ドラゴン年からは「ナーフは後からすればいいから新拡張でドカンと強烈な印象を与えてやろう」という方針に変化しているように思えます。

堕落した精霊使いグルダンの髑髏

とはいえガラクロンド、デーモンハンター関連はさすがにやりすぎたと思ったのか、「魔法学院スクロマンス」「ダークムーンフェアへの招待状」では少し抑え気味になった様子がうかがえます。

 

②基本・クラシックより新拡張のカードをすべきなのか

「基本・クラシックのカードは今まで問題なかったのだから、ナーフする必要はない。ナーフする事態を引き起こした新カードに問題がある」といった主張があります。今回の「エドウィン」や、古くは「錬気」「野生の繁茂」「滋養」のときなどによく聞きました。真に悪いのは「狐の騙し屋」「究極の浸蝕」の方じゃないかと。

狐の騙し屋究極の侵蝕

 私見で言えば、「基本・クラシックのカードこそ積極的にナーフするべき」です。確かに基本・クラシックのカードは今までナーフされずに使われてきた実績があります。新カードさえなければこれからもバランスを崩さず使われ続けたかもしれません。しかし、基本・クラシックのカードは変わらないからこそ、永遠に新カードデザインを制限してしまうことを忘れてはいけません。今までナーフされずに使われてきた実績というのは、バランスを崩さないように配慮されてカードデザインを制限し続けた結果ともいえるのです。

知識の古代樹

 例えば「知識の古代樹」(『カードを2枚引く』→『カードを一枚引く』にナーフ)ですが、単純なカードパワーでは当時の基準でもナーフするほどとは思えません。ドルイドのマナ加速が強力過ぎたからこそ、そこで失われたリソースを回復するこのカードが強く使われ、結果ナーフされました。このように、強い基本・クラシックカードは全てのカードデザインを制限してしまいます。特に新拡張が出れば出るほど、真新しいデザインというのは難しくなってくるので、そこに制限が加わるべきではありません。「今までやってきたんだから、これからも制限したデザインで新拡張を作り続ければいい」という主張は後ろ向きで、発展性に劣っているように思います。

 

③ハースストーンにおけるナーフは「悪」なのか

 最初にも申しましたが私はナーフ大歓迎派です。

 ナーフによって環境のマンネリ化を防ぐ意味もあります。拡張ごとに4か月ほどの期間が空きますが、もし最初から完璧なカード調整がされて、ナーフの必要がなくずっと同じ環境というのも辛いところです。適度にナーフが入ることで、プレイヤーは同じ拡張内でも異なる環境で様々なデッキを遊ぶことができます。仮に私がカードデザイン部の人間で、未来でナーフが起こることを予期できたとしても、環境を変化させるためと新拡張のインパクトを与えるためにナーフの余地を残してリリースするでしょう。ちなみに環境を変えるなら上方修正(バフ)という手段もありますが、バフはその影響が予想しにくいため、修正としてはよくない方法と思います。

 既存のカードによってカードデザインは制限されるものですが、その制限は少ないにこしたことはありません。そういう意味で奇数偶数シナジーは最悪でした。同じ理由で基本・クラシックのカードは必要があれば積極的にナーフされるべきだと思いますし、プリーストの基本カード再編はとても優れた措置だと思いました。基本・クラシックカードに何らかの調整が入ることが先日公式から発表されており、期待しています。

 

・おまけ

 どうこう言ったところで、結局私たちにできるのはナーフを受け入れてそれに適応していくしかありません。それが好むと好まざるとにかかわらず。

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こんなことにならないように、皆さんはお気を付けください。