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Hearthstoneについての自由帳

コントロールウォリアー歴代フィニッシャー博覧会

2024年3月29日のパッチノートにより、スタンダードのバランス調整が行われました。その中には、長くコントロールウォリアーのフィニッシャー(盤面を抑えた後、ゲームを終わらせる役割を担うカード)を務めてきた第一任命者オーディンも含まれていました。

 

 

オーディンは歴代で見ても屈指の強さを誇るフィニッシャーで、愛用していた方も多いのではないでしょうか。

今回はそんなオーディンへの哀悼の意を込めて、歴代のコントロールウォリアーのフィニッシャーについての記事です。

フィニッシャーの三要素

①破壊力(出せるダメージ量、バリュー等の相手を倒す能力)

②スピード(ゲームに勝利するまでの速度)

③安定性(構築の容易さや妨害耐性等)

を基準に、歴代のフィニッシャーたちを振り返ってみましょう。

 

 

グロマッシュ・ヘルスクリームアレクストラーザ(クラシック)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆☆☆★

初期のウォリコンは特定のカードに頼るのではなく、バロン・ゲドン炎の王ラグナロス等の高バリューカードたちで押しつぶすのが主でしたが、それでもあえて挙げるとすればこの二枚でしょう。アレクストラーザで相手のライフを15にしてから、グロマッシュ・ヘルスクリームのバーストダメージでコントロール展開から一気にゲームを畳みます。またこれらはそれぞれ体力回復、ミニオン除去と、フィニッシャー以外の仕事をできる点が優秀。

ロングゲームになると絶対勝てない、対ロード・ジャラクサへの貴重な勝ち筋でもありました。



エリーズ・スターシーカー(リーグ・オブ・エクスプローラー)

破壊力  ☆★★★★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆★★★

コントロール対決で真価を発揮したフィニッシャー。

対コントロールではデッキの多くを占める除去や装甲、ドローが無駄牌になるため、それら無駄牌をランダムなレジェンドに変えてバリューでの勝利を目指します。今見ると弱すぎて卒倒しそうになりますが、デッキ外リソースが全然なかった太古のハースストーンでは、これでも貴重なバリューカードでした。

 

クトゥーン(旧神のささやき)

破壊力  ☆☆☆☆★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆☆★★

破滅の招き手による復活を含めると合計50点近いダメージを叩き出す破壊神。

クトゥーンを育てるための専用カードが多く必要でしたが、それらも単体性能で強かったのがクトゥーンウォリアーを成立させた要因です。「クトゥーン本体より双皇帝ヴェク=ロアを使いたい」とはよく言われたもの。シルヴァナスクトゥーンを奪われると破滅の招き手経由の復活ができなくなるので、シールドスラムで自壊させるおしゃれテクニックもありました。

 

ファイアプルームの中心で(大魔境ウンゴロ)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆★★★

新登場のクエストシステムでウォリアーに配られたカード。ラグナロスの武器を手に入れるという設定で、ヒーローパワーがランダム8点ダメージになります。挑発ミニオンを使うとなぜ武器が手に入るのかは不明。

デッキ切れまで耐えることが基本戦術だったウォリコンに中盤から恒常的な攻撃手段が手に入るのは斬新でした。除去と挑発によるアグロ耐性、報酬によるコントロール耐性と一見隙がないように見えるのですが、無敵の対コントロール性能を誇る地底の大洞窟に蹂躙されることになります。

耐えているだけで勝てる対アグロ勝負ではフィニッシャーは不要なため、クエストをマリガンで返すという、クエストデッキらしからぬ一面もありました。

 

狂気の天才ドクター・ブーム(博士のメカメカ大作戦)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆☆☆☆

狂気の天才ドクター・ブーム

ついに登場したウォリアー待望のヒーローカード。デスナイトなんてなかった。

雄たけびがまず強力で、自分のメカはすべて急襲を得ることで、メカ全てを除去として活用できるようになります。オメガ・アセンブリのパワーを底上げし、他の追随を許せない盤面制圧力を誇りました。

ヒーローパワーも毎ターンランダムに選ばれるとはいえどれも強力で、特に「装甲を7得る」「メカを一枚発見する」が優秀でした。オメガ・デバステイターを無限に発見されて無限に除去され続けたのも懐かしい思い出です。

「ゲームに勝つ」というより「ゲームに負けなくなる」タイプのカードなので、フィニッシャーとしての「破壊力」「スピード」は低め。除去性能は圧倒的なのですが、対コンボデッキなどでは無用の長物になってしまいます。

 

爆弾(爆誕!悪党同盟)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆☆★★

 

相手のデッキに爆弾を埋め続けてダメージを蓄積させて勝利する爆弾デッキがここで登場します。爆弾を引きさえすれば、レンチカリバー一枚で4コスト16点というファイアボールも真っ青の驚異のコストパフォーマンスです。武器強化も合わせれば威力はさらに跳ね上がります。

また、次拡張の突撃!探検同盟激闘!ドラゴン大決戦にはハイランダーカード(自分のデッキに重複しているカードがない場合に効果発動)が含まれており、その妨害としても働きました。翌年の灰に舞う降魔の狩人で武器をサーチできる海賊の隠し武器を手に入れて、デッキが大幅に強化されます。

財宝荒らしによる再装備も狙っているので、対策としての武器破壊はまだ許せても、コボルトの棒ドロにはよく完封されました。

 

ラトルゴア(魔法学院スクロマンス)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆★★★

ラトルゴア

実質9コスト55/55のスーパースタッツ。弱点となる沈黙などが環境にほとんどなかったことも追い風で、特に対ウォリコンでは「先にラトルゴアを出したほうの勝ち」といわれる最強カードでした。血盟の傭兵で増えてしまうのも困りもの。ラトルゴアを倒すためだけに鉄嘴のフクロウが使われることもあったりなかったり。

ところで、こいつは基本「ウアアアアアアアア」みたいな鳴き声なんですが、登場ボイスは「ラトルゴアアアアアア」なんですよね。実は喋れるのか、鳴き声がラトルゴアだからラトルゴアと名付けられたのか、気になって夜しか眠れません。鳴き声にしては流暢すぎんか?

 

サイラス・ダークムーン+結魂のアッシュタン+シールドスラム(ダークムーンフェアへの招待状)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆☆☆★

だれも見向きもしなかったカスカードが、シナジーによって急遽大活躍するのがカードゲームの面白いところ。灰に舞う降魔の狩人で登場していたカスカード結魂のアッシュタンもその一枚。サイラスによって相手にアッシュタンを押し付け、そこに大量装甲からのシールドスラムをぶつけることでOTK(One Turn Kill)を狙います。

サイラスシールドスラムもコンボとして使わなくても優秀で、アッシュタン一枚以外デッキの枠を圧迫せず構築が容易でした。また、サイラスは前述したラトルゴアへの完全対策カードにもなります。

 

メタルの神E.T.C血盟の傭兵+空飛ぶほうき(ダークムーンフェアへの招待状)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆☆★

安定性  ☆☆★★★

血盟の傭兵ETCを増やし、空飛ぶほうきで全員に急襲を付けることで、ミニオン一体殴るたびに増えた分のETCの数だけ能力が誘発しOTKを狙います。前述のサイラスOTKは大量の装甲を必要としましたが、こっちはそういった準備が不要。一方で、相手の場にこっちのミニオンが殴れる相手がいないとコンボが成立しないという欠点もありました。

特にコントロールミラーでは相手の場にミニオンが少なく殴り先がいないことが起こりやすいのですが、その例外がラトルゴア。圧倒的な場持ちの良さが災いし、ETCコンボの格好のお膳立てとなってしまいます。

 

ガルヴァンガー隊長前線に出るぞ!+バトルグラウンドのバトルマスター無貌の操り手(烈戦のアルタラック)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆★★★

前線にでるぞ×2からガルヴァンガーバトルマスター操り手×2と出すことで10コスト54ダメージを叩き出すOTK。当時は風集うストームウィンドで登場した連続クエストによるコンボデッキ環境で、ウォリコンで耐えることは困難な冬の時代でした。「耐えきれないなら先に相手を倒せばいいじゃない」ということで、同拡張で登場した歴代ウォリコン最強AOE氷盾粉砕破氷結バックラーのサポートもあり、久しぶりにウォリコンが復活します。

コンボパーツが6枚と多いうえにフィニッシャーとしてしか使えないという不器用さが玉に瑕。貪り喰らうものミュターヌスガルヴァンガーを食べられでもしたら泣くしかありません。

 

カザカサン(烈戦のアルタラック)

破壊力  ☆☆☆☆★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆★★★

ドラゴンを事前に4体使用することで、自分のデッキを宝物デッキへと変えることができます。どの宝物が手に入るかランダム要素もありますが、ほとんどが常識の枠を外れたトンデモカードで、そのバリューで相手を蹂躙できます。そのトンデモぶりは、同じランダムデッキ変化のエリーズ・スターシーカーが見たら泡吹いて倒れるレベル。あまりのバリューにイナゴだァーーッ!!!は後に宝物リストから消されてしまいます。

ただ、ランダム要素よりも、イナゴ削除よりも、もっと深刻な問題点がありました。日食野生の心のガフによって、ウォリアーよりも百倍カザカサンを強く使えるドルイドが同環境に存在したことです。

 

巨大スレッシャー・ネリー(深淵に眠る海底都市)

破壊力  ☆★★★★

スピード ☆☆☆☆☆

安定性  ☆☆☆☆★

海賊三枚を発見し、しっぽが壊れたら1コストのそれらを手札に加える超大型界の元祖最強生物。当時はスタンダードローテーション直後で発見カードプールが狭く、ミスター・スマイトを高確率で発見することができ、スマイトがいれば15点前後のバーストダメージへとつながります。3ターン目深淵よりのものから4ターン目ネリーにつなげ、そのままテンポで殴りきるのが当時のウォリコンの最強ムーブでした。コントロールとは?

「海賊のコストが1になる」から「海賊のコストが1減る」という近年珍しい冗談みたいな極大ナーフを食らい、超大型最強生物から最弱生物へと一気に沈没させられます。


第一任命者オーディン(タイタンの目醒め)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆☆☆

安定性  ☆☆☆☆☆

第一任命者オーディン/Odyn, Prime Designate - ハースストーン日本語Wiki HEARTHSTONE MANIAC

今回ナーフされた、ウォリコン歴代最強フィニッシャー。

オーディン最大の強みは構築のしやすさ。オーディンを一枚入れるだけで元来からウォリコンに必要な装甲カードが打点になるので、構築に無駄がありません。その上で、レイザーフェンのロックスターや、永遠の炎イグニスの疾風武器等と組み合わせれば簡単に30点以上のダメージを叩き出します。破壊力、スピード、安定性の三拍子そろった、まさにウォリコン理想のフィニッシャーといえるでしょう。一応挑発や凍結で防いだり、ドブネズミでぶっこぬいたりと対策も出来ますが、歴代フィニッシャーと比べれば些細な弱みです。ナーフもやむなし。

噂によるとナーフされた後も全然使えるそうですね、困ったものです。

 

深層採掘工ブラン+いろいろ(バッドランドの決斗)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆☆★★

オーディン亡き?後のウォリコンの未来を支えるフィニッシャー。

アスタラーで24点ダメージを毎ターンバラまいたり、ボカンボスで相手の手札、デッキ、盤面の三点責めを行ったり、大量の触手から日没の斉射を連打したりと、様々なフィニッシュ手段がありますが、悪いのはそいつらではなくブランの方です。雄たけびどもを悪魔に変える諸悪の根源。よく言えば全雄たけびカード希望の星。

こういった様々なカードとシナジーを発揮するタイプは新拡張ごとに悪さできることが増えていくので、そのうちナーフされそうではあります。

ブラン、いや、コントロールウォリアーの明日はどっちだ!?