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Hearthstoneについての自由帳

ハースストーンメタゲーム的に考える、それでもあなたが選挙に行くべき理由

2022年7月10日、第26回参議院選挙が行われました。

 

選挙結果に喜んでいる方、不満な方、そもそも興味のない方、様々いることでしょう。

政治の話はどうしても主義主張がぶつかり対立を煽りやすいため、話題としてはタブーとされています。この記事は特定の政治的主義主張を述べるつもりはありません。政治の話にありがちな、説教臭い講釈や小奇麗な理想論を振り回すつもりもありません。

 

先に結論を言うと、

「当選・落選の結果にかかわらず、選挙に参加することに価値がある」

という内容になります。

 

一つ断っておくと、以下の内容は選挙が持つ様々な要素の中から、一つの側面にだけ注目したある種の暴論でもあります。「こういう考え方もできるんだな」ぐらいに思ってもらえれば幸いです。

また、展開の都合上読者を30代以下を想定したものになっています。30代以下以外の方は「自分の年代の利益を守る」という意図で読み替えてくださるようお願いします。

 

 

まず、選挙をハースストーンランク戦に置き換えて考えてみましょう。

ランク戦(選挙)でトップ50フィニッシュ(当選)をすれば、マスターズツアー参加権利を得られる(国会議員になれる)とします。

ランク戦で勝つために必要なことはメタに合致した最強のデッキ選択(政策や主張の方針)です。ハースストーンプレイヤーがHSReplayに代表される様々なデータで分析するように、政治家も様々なデータを分析して最適なデッキを探します。環境にどんなデッキが多いか(国民にどんな人が多いか)を調べると、こんな統計が見つかります。

 

統計局ホームページ/人口推計/人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐ (stat.go.jp)

 

さらにいえば、最も大事なのはランク戦で対戦するデッキ(投票する国民)です。カジュアルで対戦するデッキ(投票しない国民)は重要ではありません。それも調べるとこんな統計が見つかります。

 

総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について (soumu.go.jp)

 

この二つの統計から「年齢別人口で見ると50~70代以上が多く30代以下が少なく」、「投票率で見ても50~70代以上が高く30代以下は低い」ことが分かります。このままでは分かりにくいので、50~70代以上をイノシシプリースト、30代以下をフェイスハンターに例えて話を進めます。つまり、現在の日本の選挙を取り巻く状況をハースストーンメタゲーム的に整理するとこうなります。

 

 

イノシシプリースト(50~70代以上)が多いならコンボ対策(年金対策)やバーストダメージ(医療費支援)、フェイスハンターが多いなら軽い除去(子育て支援)、装甲や回復(雇用対策)を採用することで勝率(得票率)が上がります。以上を踏まえたうえで、現在の日本のメタゲーム分析をすると使うべきデッキはどうなるか、おそらくみなさん、もう分かっているのではないでしょうか。

 

 

もちろん、「星海配列ドルイド」ですよね。
環境に多く存在するイノシシプリーストに勝率を出せるデッキを選択することが、メタゲーム的な正解です。フェイスハンターに「アイアンディープのトログ」「ワンワンビスケット」と動かれると一瞬でひき殺されてしまいますが、フェイスハンターは環境に少ないため、その弱みは十分許容できます。数の論理として、その弱みよりもイノシシプリーストに勝てることが圧倒的に大事です。

 

ここで投票者側に視点を移しましょう。

政治家側はランク戦で勝つ(当選する)ことが目的ですが、投票者側としては自分の対策デッキ(自分の利益につながる政策や主張)を政治家に使ってほしいわけです。例を挙げれば、フェイスハンター側からしたら、政治家側がコントロールウォリアーを使ってくれるのが理想です。しかし、残念ながらそれは叶いません。イノシシプリーストが多い環境でのコントロールウォリアーの選択は、メタゲーム的に不正解だからです。フェイスハンターに勝てることは十分な強みにはなりえません。

 

ではフェイスハンターはどうすればいいのか?

 

寝ころびながらtwitterで、

「星海配列はくそ。使ってるやつはカス。面白くないからブリザードは早くナーフしろ。盤面で戦うって言ってたじゃねえか、出てこい、アヤラ」

と愚痴っても星海配列ドルイドが減ることはありません。トップ50フィニッシュに人生が懸かっている政治家は、どんなに愚痴を聞こうが勝てるデッキを手放すはずがないのです。

 

じゃあどうすればいいか。

答えは単純です。

タイトルにも書いている通り、「それでも選挙に行く(ランク戦に参加する)」です。

 

ランク戦にフェイスハンターが増えることで政治家側が正解配列ドルイドを使わなくなる、のは理想ですが、現実はそうはいかないでしょう。仮に投票率が伸びたところで、そもそも分母である人口の数が違うのです。イノシシプリーストが多数であることは変わらず、その対策をするのが最も効率的です。

ただ、正解配列ドルイドを使うのは変わらないとしても、ランク戦でフェイスハンターが増えてきたとしたら、その中身は変わってきます。フェイスハンターにも多少は戦えるように、対策カードを数枚入れることに価値が生まれます。

 

連爆の魔術師

レナサル太子

公園のヒョウ

 

逆にフェイスハンター及びアグロデッキが環境からさらに数を減らせば、「大地のウロコ」「礁のドルイド」も減らして、さらに対コンボ特化の禍々しいリストに変わることだってあり得ます。

 

貪り喰らうものミュターヌス

剣匠オオカニ

バトルグラウンドのバトルマスター

 

デッキを根本から変えるまでは行かなくても、その構成を数枚なら変える、もしくは変えないための牽制となる。これこそが「選挙に行くべき意味」です。

 

政治家は分析するはずです。私たちがHSReplayを分析するのとは比較にならないぐらい、資金も、人員も、時間も使って。来月のランク戦(次の選挙)もあります。ランク50フィニッシュ(当選)したから、めでたしめでたし、では終わりません。誰が、どこに、どれほど投票したか、全力で分析します。そこでフェイスハンターの数が多いとは言わないまでも、増加傾向を見つけることがあれば、どうでしょう? 「40枚型星海配列ドルイド」を使う理由になりえるとは思いませんか?

 


・一票入れたところで結果は変わらない。

・政治に詳しくないからどこに投票していいか分からない。

・政治家を誰も信用できない。

選挙に行かない理由としてよく使われるフレーズです。

 

現実として、投じた一票によって選挙結果が変わることはありません。落選者にあなたが投票していたとしても、その一票によって結果が逆転するわけではありません。

 

しかし、その一票には「力」があります。

 

ランク戦に参加しましょう。

「トログ」に「ビスケット」を食わせて、「狙い撃ち」で速やかにゲームを終わらせましょう。政治家側がこちらの対策をしたくなるまで、フェイスを殴り続けるべきです。プレイング(政治)がよくわかっていないから勝率が出ない(どこに投票するかわからない)と、参加を控える必要はありません。どこに投票したとしても、その意図は政治家側が勝手に分析してくれます。もちろん詳しいのは理想ですが、少なくとも行かないよりはずっといいです。

 

 

結果は変わらなくても、

どこに投票していい分からなくても、

政治家を信用できなくても、

「あなたが選挙に行くことには価値がある」ことを、どうか知っていてほしいのです。