これからのヨグ=サロン様の話をしよう

Hearthstoneについての自由帳

コントロールデッキ死滅の時代に振り返る、レイトゲームの歴史

みなさんご存知の通り、「風集うストームウィンド」環境において、コントロールデッキは死に絶えました。

連続クエストのゲームエンド能力は圧倒的で、いかなる手段をもってしてもコントロールすることは不可能です。今のハースストーンは「相手より1ターンでも早く強い動きを押し付ける」ゲームで、「相手のリソースを受けきって粘り勝つ」プレイスタイルは許容されません。

その是非はいったん置いておくとして、これを機にコントロールは絶滅してしまうのでしょうか、それとも復活があるのでしょうか。これまでのレイトゲームの歴史を振り返り、私見を述べさせていただきます。

どうかごゆるりとお付き合いください。急いでドローする必要はありません。ヒーローパワーだけ押してターン終了、そんな心持ちで参りましょう。

なお本文に何度も出てくる「開発者のDean Ayala氏のQ&A」はBeerBrick Hearthstoneから引用させていただいております。わかりやすい&ためになる記事、いつもお世話になっています。感謝します。

 

(1)ファティー

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デッキ外リソースの獲得手段が皆無だった最初期は、コントロールミラーにおいて相手の攻め札をすべて処理することは比較的容易でした。デッキがなくなった後にドローする際に生じるファティーグダメージによって決着がつくことがほとんどで、「ドローしない(デッキを増やす)」ことが最重要事項でした。

ジャスティサー・トゥルーハート

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ウォリアーが強化ヒーローパワーで4装甲を積めるようになると、毎ターンヒーローパワーを押し続けることの価値がさらに大きくなりました。ヒーローパワー、エンドの繰り返しでどんどん装甲が積み重なっていくさまは、見ている分には大きな動きもなく、地味で、なおかつ時間がかかる、正直退屈なゲーム展開でした。

文書管理官エリシアーナ

「ドローしない(デッキを増やす)」ことが最重要で、一枚デッキを増やすカードを最大限使いまわすことに執心していた時代を突如ぶっ壊したのは、ファティーグ時代の黒船こと「文書管理官エリシアーナ」。おそらく運営としては「ファティーグよりはランダムなカードで殴り合った方が見てて面白いだろう」との意図だっと思いますが、ランダムカードでは結局ゲームを決めるに至らず、ただでさえ時間のかかるファティーグゲームをさらに三十分引き延ばす大悪党でした。一試合の時間がかかりすぎるという意味で、この時代のウォリコンが歴史上最も不健全だったとと個人的に思います。

 

開発者のDean Ayala氏のQ&A(8月7日)において、

「A: ダメージを与える手段を持たず、全てのリソースをゆっくりと削り取るデッキは楽しくないデッキだと思います。コントロールデッキは、デッキ切れ以外にも勝利するプランを持つべきです。」

と言われており、ひたすら耐えきって勝利を目指すようなデッキは開発側も推奨しておらず、そうしたデッキはこれから現れないだろうと予想されます。

 

(2)強力なゲームエンドカード

単純な大型ミニオンではコントロールミラーのゲームを決定づけることができません。その現状を打破する、圧倒的なゲームエンド能力をもったカードが定期的に登場します。前述した「デッキ切れ以外の勝利するプラン」と言っていいでしょう。

クトゥーン

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ラトルゴア

一枚でゲームを決定づける力を持っているため、「引いたもん(達成したもん)勝ち」になってしまう面もありますが、決め手がないままだらだら試合が続くよりはるかに健全でしょう。ただしこれらはアグロデッキ相手にするときには不要な札なため、環境に存在してもデッキに採用しないということも十分あり得ます。その結果、結局決め手のないコントロールミラーが発生してしまう、というのもよくあるパターンです。

 

(3)対処不能カードによる死

翡翠の偶像

地底の大洞窟

死線の追跡者レクサー

悪魔の種

コントロールデッキは「相手のリソースを受けきって粘り勝つ」プレイスタイルなため、受けきれない相手が環境に多ければその存在は許されません。これまでにも何度もアンチコントロールカードは登場してきました。1ターン目に「地底の大洞窟」を張られた瞬間にコンシードなんて、当時は珍しくもありませんでした。

開発者のDean Ayala氏のQ&A(7月15日)において、

「コントロール/コンボデッキは、ゲーム内で最も強力なデッキである場合、(プレイヤーが)より厳しく否定的な反応を示す傾向があります。私達は、プレイヤーが不満をあげるデッキ全てを弱体化させないよう努めています。そうしないと、最終的にはミッドレンジVSミッドレンジだけになってしまうからです。」

と答えており、運営はコントロールデッキが強くなり過ぎないように、定期的にこのようなカードを作っているのだと思います。その定期的の波が今拡張の「風集うストームウィンド」だったというわけです。

 

(4)無限リソース泥試合

凍血の魔王妃ジェイナ

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名状しがたきガラクロンド

無限リソースを持っているのが片方だけなら(3)のようにコントロール側が死んで平和?に終わるのですが、両者が擁していた場合、ランダム泥仕合のはじまりです。これも「エリシアーナ」と同じように、動きがないよりはランダムカードで殴り合っている方が見栄えはいいですが、結局決め手に欠けたままズルズルと試合は長引いてしまいがちです(デッキを増やさない分「エリシアーナ」よりはマシですが)。現在ヒーローカードは(「ロード・ジャラクサス」以外)存在しませんが、「死者蘇生」からリソースミニオンを復活させる「大荒野」環境のコントロールプリーストもこれに近かったでしょう。

Dean Ayala氏のQ&A(3月18日)においては、カード生成カードは減らしていくと言われています。

「拡張セットには、より奇抜なものもあります。とはいえ、私たちはカード生成カードを減らしたいと思っています。そのため、これまでよりデッキに採用されているカードによって勝利が決まります。

クラシックフォーマットに比べれば、まだまだ多くのカード生成カードがありますが、ここ1、2年はかなりその数を減らしています。」

Dean Ayala氏のQ&A(7月22日)においては、将来的なヒーローカードの復活を示唆されています。

「~ですから、一部のヒーローカードやクエストを常にインパクトを持たせて更新し続けるのではなく、実装する際にはインパクトを持たせ、その後はしばらく休ませる、という方法を選んでいます。」

これらのことから将来的にヒーローカードは復活するが、従来に多かった無限リソースタイプではなく、例えばズルジンのようなタイプとなって登場することが予想されます。(もしくは過去に類を見ない斬新な何か)

ズルジン

 

(5)まとめ

以上のことから私なりのまとめとしては以下になります。

①今コントロールは死んでるが運営も完全に殺したいとは思っていない。その内復活する。

②ただしこれからも適度に殺される。

③復活するとして、過去に多かった、ファティーグ勝負、無限リソース勝負にはならない。しばらく耐えたのち、ゲームを決定づけるカードで比較的速やかに終われるようになる。

 

ここまで気長に読んでいただいたコントロールジャンキーの皆さん。

今は冬の時代ですが、きっとその内コントロールは何らかの形で復権します。(ファティーグゲームは諦めてください)希望を捨てず、耐え忍んでください。ナーフも予告されているし、ミニセットもその内来ます。そう、今こそあなたのハースストーンに向き合う姿勢に、コントロール的姿勢で焦らずじっくり構えるべきなのです。

 

 

(6)後書き

ちなみに私は最近コントロール構成でマスターズ予選に潜り込んでいました。

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累計戦績11勝5敗の勝率68%。

コントロールデッキは死に絶えたと言いました。時代の覇者ではありません。

しかし、その屍から小さな芽が出ているのを見逃してはいけません。

アスファルトに咲く花のように、コントロールデッキは密かに、けれど確かに、その可能性を芽吹かせています。

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