「カード生成効果が多くなり過ぎた、これからはカード生成効果を減らしていくつもりだ」
一昔前、こういった趣旨がデザイナーからよく聞かれました。
「発見」に代表されるカード生成効果は今やハースストーンの華であり、デッキ外のカードプールにも意味を持たせるDTCG特有の面白いシステムです。
しかし、それが続くにつれ、いくらなんでも多すぎだと顰蹙を買うようになりました。
ゲームの冗長化、過度のRNG要素等、カード生成効果による不満がユーザーから出るようになり、「カード生成効果は徐々に減らしていく」と明言されるようになりました。
本当か?
なあ、ブリザード、信じていいのか?
そんな疑問に終止符を打つべく、今回は「カード生成効果は減ったのか否か」を検証するため、歴代拡張のカード生成効果の程度を調べてみます。
単純に生成効果持ちカード枚数を数えるだけではカード生成の量、質がゲームに与える影響を無視してしまうため、Generate度数(G度)というものを開発してみました。
まず、カード生成効果を「カードを新たに生成し手札または山札に加える効果」と定義します。そして、カード生成の質に以下のような点数をつけ、生成枚数を乗することでG度を求めます。
価値なし(1/1やスペアパーツ等) ・・・0点(計上しない)
ランダム生成やデッキには入らないレベル ・・・1点
発見やデッキに入るレベル、またはそれに準ずる レベル ・・・2点
特殊パワーカード ・・・3点
例を上げれば
このようにして各カードのG度を算出し、各拡張ごとにその合計を求めて、カード生成効果の変遷をまとめていきます。なお質や生成枚数のブレがある場合は私の独断で決めます。異論は認める。
この算出方法がガバガバなのは百も承知なんで、昔のカード振り返りのエッセンス程度の認識でゆるりとお付き合いいただければ幸いです。
ここまでが前置き。
思いのほか前置きが長くなってしまいました。
では実際に歴代拡張のG度を見てみましょう。
①原始時代 前期
今や当たり前にあふれかえっているカード生成効果ですが、初期のG度は10前後と、非常に珍しい効果でした。それも、イセラ、ネプチュロン、ネファリオンといったレジェンドカードに許された特別な能力、といった位置づけです。
②原始時代 後期
グランドトーナメントはカード生成効果が増え、G度は20近くに迫ります。とはいえランダム生成はやはり使いづらく、実際に構築シーンで使用されることはほとんどありませんでした。
リーグ・オブ・エクスプローラーは「発見」が登場したセットで、発見の点数をランダム生成の二倍にしてる算出方法のため、アドベンチャー型拡張(現在のミニセットと同等)ながら20超えと、G度に急激な伸びが見られました。
③クラーケン年
「発見」が登場してすぐ大人気になり大量追加される、というわけではなく、しばらくグランドトーナメントと同等のG度の横ばいが続きます。
グランドトーナメントの強盗で示唆されたローグの対戦相手クラスからの生成(現在は他クラスからの生成に変更)の定着や、カザカス、白眼でついに登場したコレクション可能カードとは一線を画す特殊パワーカード生成の登場など、現在につながるカード生成の特徴が随所にみられます。
④マンモス年
沼地の女王(クイーン・カルナッサ)は算出方法故の一種のバグとして無視するとしても、大魔境ウンゴロのG度の伸びには目を見張るものがあります。あっちにもこっちにもカード生成だらけ。ハースストーンカード生成変遷上の一つの転換期といえるでしょう。大生成時代の幕開けです。
次の凍てつく玉座の騎士団もヒーローカードが初登場したせいもあって高いG度になりました。死線の追跡者レクサー、ベネディクトゥス大司教、虚ろのヴァリーラ、死人の手札、と一枚でG度10越えのカードが四枚もある驚異の大量生成拡張になっています(驚異のデッキとかけている)。
⑤ワタリガラス年
ワタリガラス年のG度は三拡張とも40~50で安定しています。マンモス年は一部の大量生成カードが数値を跳ね上げていたことを踏まえれば、ほとんど同じといって差し支えないでしょう。カード生成変遷としては、前年度からの大きな変化は見られません。
この二年で「発見」もすっかり定着し、この頃にはハースストーンの基本的システムとしてでかい顔をしています。死線の追跡者レクサーから始まった無限バリューヒーローカードシリーズに、魔女ハガサ、狂気の天才ドクター・ブームと続いてことで、こうした無限バリューが一つの定番となりました。
その②に続く