10月7日(金)16:00~、「マスターズツアー:虐典裁判」が始まります。
ミニセット「虐典裁判」リリース後の初めてのマスターズツアーです。
みなさん、「虐典裁判」は遊びつくしましたか?
十分遊びつくした方も、忙しくてあまり遊べていない方もいるでしょう。
今回は、本戦に備えて、現在のハースストーンスタンダード環境を予習しておきたい方のために、全十クラスのメタゲーム上のデッキと立ち位置を簡単にご紹介します。
これを読めば、観戦が十倍楽しめること間違いなし!?
現環境を牽引するtire1デッキであり、マスターズツアーでも使用率No1だと予想されるのは40枚獣ハンターです。
40枚獣ハンターの魅力はなんといっても不利マッチの少なさ。唯一の例外を除き、ほとんどのデッキ相手に五分~微有利の非常に優秀なマッチアップ相性を持っており、その性質は、様々なデッキと戦うことが予想されるマスターズツアーに最適なデッキといっても過言ではありません。
序盤から終盤まで盤面制圧能力の高い優秀なミニオンを展開し続け、アグロだろうがコントロールだろうが相手を圧殺します。獣ミニオンを高コストに限定することで、「ペット収集家」「銛打ち銃」を最大限に活用した、骨太な王道ミッドレンジデッキです。
最近のリストの特徴としては、「輸入タランチュラ」の採用が増えてきました。獣ハンターの最大の欠点は大型ミニオンを除去できないことです。そのために、前述した「唯一の例外」であるミラクルプリーストに大きな不利がついています。その欠点を、「輸入タランチュラ」の「猛毒」によって補おうとするわけです。新カード「被告側弁護人ナサノス」との相性の良さも光っています。
ハンターがマスターズツアー:虐典裁判の主役になるのは、まず間違いないでしょう。
【サンプルデッキ 40枚獣ハンター】
ミニセット「虐典裁判」の最大の恩恵を得たのはパラディンです。
ゲームを決めるフィニッシャー不足に悩んでいたところに、目玉レジェンドの「獄吏王」、さらには「獄吏王」を安定して引くための「裁判所命令」が追加され、「獄吏王パラディン」 が誕生しました。
「獄吏王パラディン」自体は環境初期に開発されたものの、デッキパワーが足りずすぐ使われなくなりました。しかし、ひそかにmyao氏によって改良型が開発され、ラダーで勝利を積み重ねている姿が目撃されています。
【サンプルデッキ myao式獄吏王パラディン】
このリストの画期的なところは「デナスリアス陛下」の採用で、十分な吸魂ができなかったとしても、破壊不能な10/10生命奪取ミニオンとしてライフレースを破壊します。「ライトフォージのキャリエル」のダメージ半減能力も含めて考えれば、毎ターン20点回復です。そら勝ちます。無茶苦茶です。
「イルギノス暴れん坊デモハン」「コントロールピンメイジ」などを切り開いた稀代のデッキビルダーmyao氏のパラディンの活躍が見れるのか、注目です。
パラディンに次いで、ミニセットで強化されたのはアグロデーモンハンターです。
「盲目の治安判事」という4/5/4で標準スタッツを持ちながら最大5枚ドローという化け物カードが追加され、「本の虫」などの手札を減らすカードをより効率的に使えるようになりました。
【サンプルデッキ アグロデーモンハンター】
また、遺物フェルデーモンハンターも有力な選択肢となっています。新カードの「検事メルトラニクス」は相手の行動を大きく制限する強力な能力で、「次元の遺物」のコスト軽減能力を活かしたスイングターンに合わせて相手を対処不能にし、一気にゲームを決めることが可能になりました。
【サンプルデッキ 遺物フェルデーモンハンター】
デーモンハンター両デッキの欠点は、一部のシナジーカードにデッキパワーを大きく依存しているため、デッキを30枚にする必要があるところです。たった30点のライフでは、獣ハンターにあっという間に圧殺されてしまいます。とはいえ、30枚ならではのドローがうまくかみ合いまくる「ブン回り」が起こりやすいのはメリットといえるでしょう。
最有力は呪いインプウォーロック。ミニセットによる変化なしデッキその1。
序盤はインプシナジーを活かした小型ミニオンによるビートダウン、「悪徳の図書室」によるミニオンの大型化、中盤以降は「呪い」による継続ダメージ、と簡単に対処できない多角的な攻め方ができるのがこのデッキの魅力です。
メタゲームの立ち位置で言えば、絶望的な相性だったエドウィンローグが数を減らしたことが追い風です。代わりに増えた獣ハンターも苦手な相手ではあるのですが、エドウィンローグに比べれば全然ましです。
「呪い」による継続ダメージはかなり大きく、ミニオンで全く攻められなくても、「呪い」だけで相手を削りきることすら可能です。特に「骸骨メイジ」や「クエストプリースト」などの展開力が劣るデッキは、反撃の機会が整う前に全身呪い切られてしまいがちです。
コントロール殺し、その役割がウォーロックには期待されています。
【サンプルデッキ 呪いインプウォーロック】
「クエストプリースト」や「ナーガプリースト」も候補には上がっていますが、ここでは今一番メタゲームに絡んでいる「ミラクルプリースト」を紹介します。変化なしデッキその2。
【サンプルデッキ ミラクルプリースト】
5,6ターン目前後に突然体力20を越える超巨大ミニオンを並べるコンボデッキ。
もともとは挑発の突破手段を持たないエドウィンローグを殺すために開発されたデッキでした。エドウィンローグは数を減らしましたが、獣ハンターにも大型挑発が非常に有効なことから、このデッキの存在感は日ごとに増しています。他にもデーモンハンターや呪いインプウォーロックなど、大型挑発を突破できないデッキは環境に複数存在しており、非常に有利なマッチアップをいくつももっていることがミラクルプリーストの強みです。
しかし、このデッキはその強みと引き換えに、致命的な弱点カード一枚で崩壊する脆さも持っています。「集団動物変身」「始原の波」「平等」「輸入タランチュラ(急襲付与も必要)」etc。得意なデッキにとことん強く、苦手なデッキにはとことん弱い、そんな極端な相性関係が、ミラクルプリーストの特徴です。つまり、メタゲーム次第で最強デッキにも、最弱デッキにもなりえます。
果たして、ミラクルプリーストはこの混沌としたメタの海を泳ぎ切ることができるのでしょうか?
最有力は40枚骸骨メイジ。変化なしデッキその3。
ミニセット前のバランス調整で「夜陰の内殿」「魔導士ドーングラスプ」のナーフを食らい、デッキパワーを大きく落とした骸骨メイジですが、実は最近ではメタゲーム上の立ち位置がよくなっています。
理由はなんといっても、最強デッキである獣ハンターに有利が取れること。
獣ハンターはハンターとしては珍しく直接ダメージがなく、盤面のミニオンで戦うデッキなので、メイジの「凍結」カードが極めて有効です。「凍結」や「固いアリバイ」で時間を稼ぎながら、「モードレッシュファイヤー・アイ」や「大魔術師のルーン」で盤面をひっくり返すという勝ちパターンを持っています。
獣ハンターが使用率No1が予想されるということは、そこに対抗できる骸骨メイジも当然その数は少なくないはずです。下のリストには入っていませんが、「集団動物変身」を採用することでミラクルプリーストを殺す役割を持てることも、メイジを使う理由の一つになります。
【サンプルデッキ 40枚骸骨メイジ】
最有力は40枚雄たけびシャーマン。変化なしデッキその4、ではありません、「被告人シルヴァナス」が入っていました。セーフ。
シャーマンの立ち位置は、正直なところ何とも言えません。なんとも言えなさ過ぎて、もはや何とも言えないところが特徴です。
ライフが40あり、高水準なミニオンがそろっているのでアグロが苦手でもないですが、除去が少なく盤面を取り返しづらいので得意とも言えません。
「貪り喰らうものミュターヌス」や「デナスリアス陛下」の雄たけびを「スバラシインコ」や「ボルナー・ハンマービーク」で使いまわす動きはバリュー勝負で強力ですが、それ以外はミニオンを並べ続けることしかできず、コントロールに強いとまでは言えません。
よく言えばどのデッキにも勝てるし、悪く言えばどのデッキにも負ける。プレイヤースキルが試されるデッキといえるでしょう。
ただ、こうした「足を引っ張らないデッキ」は、4デッキ揃えなければいけないマスターズツアーのルール上「数合わせ」として価値があり、案外見かける機会は多くなるかもしれません。
【サンプルデッキ 40枚雄たけびシャーマン】
最有力は40枚ランプドルイド。必須枠ではないですが、新カードの「滴性手続き」や「弁拷士」が使われることもあり、地味ながら強化されてはいます。
しかし、新カードはデッキパワーを大きく底上げするほどのパワーはなく、ランプドルイドは「野生の心のガフ」のナーフで負った手痛い傷からまだ立ち直れていません。マナクリスタルが空かどうかは地味に見えますが、かなり大きなナーフでした。ヒーローパワーの連打でマナ差を開け続ける動きがとても難しくなり、強みを大きく損ないました。
とはいえ大量のトークン生成による「デナスリアス陛下」の爆発力は健在です。マナ加速、ドローの余裕を与えてくれるコントロールデッキ相手のカウンターとしては、今なお有効に機能します。
アグロに弱いのは相変わらずですが、ウォーロック同様、コントロール殺しを期待される存在です。
【サンプルデッキ 40枚ランプドルイド】
いつの間にかとんでもないデッキが開発されていたので紹介しておきます。
【秘策ヴァンダルローグ】
「影隠れ」「鋸歯の骨針」「スキャブス・カッターバター」「影業師スキャブス」のいずれかで「ヴァンダル・ストームパイク」のコストを軽減することで、3,4コストのミニオンを入れながら無理やり「ヴァンダル」を起動させるデッキです。2コストにミニオンを入れられませんが、2コストに優秀な秘策がそろったことでデッキとして形になりました。
コスト軽減さえできれば、「現地連絡員」「デファイアスの親玉エドウィン」で大量ドロー・大量展開をしながら、「不気味な墓穴堀り」で対戦相手の手札から対処札を抜き去り、さらには「ネクロロード・ドラカ」から巨大な武器を振り回す最強デッキです。コスト軽減さえできれば。大事なことなので繰り返しますが、コスト軽減さえできれば、ね。
「ヴァンダル」を引けなければ始まらないという致命的な欠点を持ってはいますが、回った時の強さは環境随一です。展開しながら同時に相手の手札を攻められることは、このデッキだけができる唯一無二の動きで、劇的な強さを誇ります。
「ヴァンダル」のライバルである「ドレクサー」は暴れすぎてナーフされました。「ヴァンダル」も「ドレクサー」の後を追うことになるのか。答えはここ数日で決まります。
「ヴァンダル」の運命やいかに。
残念ながら今環境にウォリアーはいません。
持っていくのはルビーさんだけです。
さあ、開幕まで秒読み、2022年度マスターズツアーの大トリとなる、「マスターズツアー:虐典裁判」。
全九クラスの活躍を見逃すな!!
万が一ウォリアーが活躍するようなら謹んでお詫び申し上げます。