これからのヨグ=サロン様の話をしよう

Hearthstoneについての自由帳

HS歴代メカニズムを振り返る ツイスト記念新時代編 後半

前回の続きから

 

⑥烈戦のアルタラック

 

「ヒーローカード」 ゲンバク値5

 

 

 他のカードとは一線を画す人気のあるメカニズム。これからもマンネリにならない程度に定期的に登場するのは間違いない。

 「アルタラック」のヒーローカードの特徴として、今まで多かった無限リソース系のヒーローパワーがなくなった。以前から度々言及されてきた「カード生成効果を減らしていく」という方針が有言実行された形だ。お互い無限リソースの投げ合いになって泥仕合が続くのも、無限リソースのある側がコントロールデッキを蹂躙するのも辟易としていたので、この変更は歓迎したい。ブリザードの気遣いに感謝。

 ヒーローカードは、良くも悪くも環境を一変させるパワーカードである。その影響力を考慮して環境に居座る期間をできるだけ短くしようとしているのか、最近は年の最後の第三拡張に登場するようになっている。再び、ブリザードの気遣いに感謝。

 ちなみに、ヒーローカードの登場は大きく分類して今回で4回目。

0回目? ウォーロック専用(ロード・ジャラクサス) 

1回目 「凍てつく玉座の騎士団」 全クラスに追加

2回目 拡張で一枚ずつヒーローカード登場 シャーマン(ハガサ)、ウォリアー(ブーム)、ハンター(ズルジン)、メイジ(レノ) 

3回目 「激闘!ドラゴン大決戦」 シャーマン、ウォリアー、ローグ、プリースト、ウォーロック(ガラクロンド)

4回目 「烈戦のアルタラック」 全クラスに追加

 ジャラクサスは太古の存在なので例外として、シャーマンとウォリアーのみ、最大回数の4回ヒーローカードが登場していることに注目したい。この2クラスはデッキ構成によってヒーローパワーが腐りやすいので、それをヒーローカードで補おうとしてくれているのが分かる。またもや、ブリザードの気遣いに感謝。

 そもそもシャーマンのヒーローパワー変えたほうがいいんじゃないか?

このネタって全国で通じる?

 

「武勲」 ゲンバク値9

 

 武勲のダメなところはおおむね前回の逆上と同じ。

 ミニオン同士のトレードの駆け引きを前提としたメカニズムだが、除去が多い+コンボ環境だったことから満足に働く機会はなかった。逆上と違いミニオン以外にも搭載できる能力なので、武器や呪文の武勲はそこそこ活躍したものの、全13枚の武勲持ちミニオンの死屍累々ぶりは低評価を決定づけるのに十分すぎる。

 細かいダメージの調整ができるデーモンハンター、メイジ、ローグあたりはまだしも、他のクラスにはそもそも達成難易度が高すぎた。

 

⑦深淵に眠る海底都市

 

「超大型」 ゲンバク値3

 

 

 手放しでほめたい素晴らしいメカニズム。

 ミニオンのイラストを複数のカードで表現することで、巨大なミニオンの圧力が一目で伝わる視覚的な魅力。複数のカードが有機的に絡む独特な能力を表現できるゲームデザイン的な魅力。文句のつけようがない。

 バフ/ナーフを経て、超大型の全カードが活躍できたことも加点ポイント。

 ヒーローカードと同じように、特別感が大事なので頻出するわけにはいかないのが唯一の欠点。

 再登場に期待。

 

「海底探査」 ゲンバク値3

 カードゲームの魅力の一つに、「プレイヤーの意思決定によってゲーム展開が作られる」という部分がある。そのために選択肢が増えるドローは古今東西あらゆるカードゲームで重宝され、HSでは「発見」が大活躍した。しかし、ドローが多すぎるとコンボデッキが世界を蹂躙するし、「発見」は優秀なメカニズムだがさすがに増やしすぎて顰蹙を買いだした。

 その問題の答えとなるのが海底探査だ。プレイヤーに意思決定の機会を与えながら、「ドロー」「発見」の問題点を解消することに成功している。選ぶカードの種族、コストなどを参照することで、デッキ構築に指針を与えることもおもしろい。

 ただ、再登場に向けての懸念点が一つだけ。日本語訳時に本来なかった「海底」という単語を加えたことによって、「海底都市」だけで言えばいい味が出ているファインプレーなのだが、再登場時に違和感が出てしまう翻訳陣痛恨のミス。「腐敗の死霊術師」が海底探査というのはちょっと無理がある。

 

 

⑧ナスリア城殺人事件

 

「場所」 ゲンバク値2

 

 

 「アルタラック」の攻略目標シリーズ(「ワイルドポーの洞窟」「ダン・バルダーのトーチカ」等の3ターン継続する呪文)の転生した姿。

 攻略目標は3ターン連続で自動起動するため、ミニオン展開やドローは強力な一方、除去や他のカードとセットで使いたいコンボ向け能力は使いづらいうえ、対象を選べないのでデザインが非常に制限された。

 それと比べて場所は「任意のタイミングで起動できる」「対象を選べる」「耐久値の調整ができる」とデザインの幅が大きく広がった。毎ターンの連続起動ができないという制限も、強力になりすぎないちょうどいいものだった。

 

 

「吸魂」 ゲンバク値7

 

 ミニオンを並べることを前提としたメカニズムという点で「逆上」「武勲」と似た趣がある。前述の二つは基本的に相手のミニオンを条件としている点がだめだっだが、吸魂は自分がミニオンを出すだけでよい。この違いは大きい。

 単純にミニオンを並べているだけでは吸魂に困ることも少なくなく、一枚で複数展開できるカードを持っているかで使いやすさに大きな差が出る。その点がクラス格差へとつながってしまうのはケチの付け所か。「オニクシアの鱗」で簡単に「デナスリアス陛下」「貪食のデヴォーラー」の吸魂を稼げるのは少々理不尽に感じたものだ。

 

⑨リッチキングの凱旋

 

「死体」 ゲンバク値1

死体爆裂

 新クラス「デスナイト」のクラス特性として登場したメカニズム。

 まず、フレイバーとして単純にわかりやすいのがいい。死んだミニオンを利用して効果を得るというのは直観的にわかるし、クラスのイメージにもあっている。「霊視力」が手札の端から使ってなぜ二枚引けるかはイメージできないが、「死体爆裂」が死体を爆発させて死体の数だけダメージを与えるのはすぐに納得できる。

 プレイデザインにおいて、コストや能力だけでなく死体数でバランス調整ができるのも悪くない。

 

「マナ渇望」 ゲンバク値4

 マナ渇望コストまでマナを持っている場合にメリットがあるメカニズム。序盤は弱く、中盤以降に強くなる、ランク付き呪文と同じ方向性。環境で悪さをしない優等生なメカニズムである。マナ渇望を達成しているとカード枠が光るので、ランク付き呪文よりも見た目でわかりやすく、プレイ・アビリティはよし。

 死体と同様に、コストや能力だけでなくマナ渇望コストでバランス調整ができるのは悪くない。「アスタラー・ブラッドスォーン」と「フェル全開」はマナ渇望コストのナーフによってかなりマシになった。コストや効果の変更はカードパワーを極端に左右してしまうことが多く、こういう細かな調整ができることは大変好ましい。

 

⑩集え!レジェンド・フェス

 

「フィナーレ」 ゲンバク値6

 マナをぴったり使い切ることを強いられるほんの少しだけ不自由なシステム。不自由とはいってもコスト通りのタイミングで使う分には何の問題もないので「魔法活性」「変妖」の不自由さと比べると天と地の差がある。サポートカードが必要なわけでもない。

 「インフィニタイズザマキシチュード」のような発見効果にフィナーレがついているのはちょっと面白い。フィナーレで使うとマナが残っていないので、今発見したカードで現状を解決することができない。フィナーレの発見は将来必要と予想されるカードを予め発見しておく必要があり、適度なジレンマを与えてくれる。

 フィナーレ自体に大きなマイナスポイントはないが、使って特段面白いわけではないので評価自体は中程度。

 

「過回復」 ゲンバク値10

 コアセットに入っているのでしばらく登場が続くだろうが、メカニズムとしてはかなり弱い。「マルシェザールのインプ」「グルダンの手」がない頃の破棄ウォーロックや、初期の凍結シャーマンを彷彿とさせる。

 今までさんざん言ってきた通り、他のカードのサポートが必須なメカニズムは評価が落ちる。メカニズムカード、サポートカードともに、そろわずに手札で腐るリスクがあるからだ。サポートである回復能力はそれ単体で働かないことも大きなマイナス。逆上サポートの「ガーディアン改造屋」は逆上と合わせなくても強力だったからこそ採用できた。

 プリースト使いは、使われない過回復カードと使われない過回復サポートカードに貴重なクラスカード枠を奪われる未来に怯えるがいい。試しにウォーロックの歴代破棄カードを見てみれば、そこに積みあがるガラクタの山に言葉を失うだろう。破棄したいのは手札じゃなくてお前の存在だよ、と言いたくなるカードばかりだ。

 過回復が活躍するには「グルダンの手」「降雪の守護者」のような世界を塗り替えるレベルのパワーカードが必要となる。