最近、過剰なRNG要素を問題視する話をよく見かけるようになりました。
ハースストーンとRNGは切っても切り離せない歴史があります。ハースストーンにおけるRNGはどのように変わって来たのか、個人的に思う転換期を三点あげながら振り返り、RNGはどうあるべきかについて考察していきます。
(1)初期 ランダムダメージと極端な振れ幅
「クラシック」~「リーグ・オブ・エクスプローラー」まではランダムダメージがシャーマンのクラス特徴でもありました。しかし、ランダムダメージはケアするために最小値を想定しなければいけないため、マイナスなランダム要素でしかありません。評判が悪かったのか、「旧神のささやき」以降ランダムダメージのカードは作られなくなりました。
「破滅に至る病」「マインドゲームズ」「精神支配技師」といった、上振れれば大きい、下振れれば目も当てられない、といった極端なランダムカードが初期カードには多くあります。カードパワーの高いわずかなカードは構築でも出番はありましたが、実用的ではないロマン枠としてエピック枠を長年潰してきました。古の民はエピック枠に有用カードが増えた最近の傾向に恐れおののいています。
(2)転換期1 希望の終焉ヨグ=サロン
元祖ちゃぶ台ひっくり返しマシーン。
後にナーフされて途中で本人が死んだ場合呪文使用が途切れるようになりましたが、はじめは途中で死のうが呪文の使用は続きました。当時の使用感としては盤面全除去して、4,5枚引いて、相手ヒーローにもそこそこのダメージ与えて、な感じだったと記憶しています。大会シーンで多くの勝敗を一枚で好き勝手に決めて、多くの競技プレイヤーの精神を殺してきました。何が起こるかわからない、大逆転の目がある、失敗して大惨事もありえる、ということで配信での盛り上がりは随一でした。
これまではデッキ内に何が残っているかを考えてのゲームプランが基本だったのが、ここでRNGだけですべてをひっくり返すという(悪しき?)前例が生まれてしまいました。
(3)転換期2 発見
発見というシステム自体は「リーグ・オブ・エクスプローラー」から出てましたが、そこまで発見のパワーカードはなく、ランダムよりも選べる分使いやすい、ぐらいの立ち位置でした。「大魔境ウンゴロ」で発見のパワーカードが増え、大いに環境をにぎわせます。特に「ストーンヒルの守護者」は中立であり、クラスカードの発見補正、挑発という制限、から狙ったクラスカードを拾いやすく、多くのデッキで使われました。同じカードを毎回発見してしまうことが問題視され、後にクラスカードの発見補正は撤廃されることとなります。
(4)転換期3 ヒーローカード
ヒーローカードの登場によって、無限のカード生成が可能になりました。「希望の終焉ヨグ=サロン」や「発見」もデッキ外のカードにアクセスしてきましたが、ヨグサロンはナーフされ、「発見」もあと何枚と計算することができました。ヒーローカードだけはリソースが無限です。無限のリソースが登場したことが、「マナ・サイクロン」や「悪の手先」など、後のリソース補充カードが今までより手軽に、大量にできるようになった転機になったと思います。
(5)現状の問題点
(2)~(4)で述べた転換期を踏まえて、現在のハースストーンのRNGにおける問題点を二つ上げます。
①手軽に、大量になりすぎたカード生成
一例として「大魔境ウンゴロ」のレジェンドである「太陽の破片ライラ」と、「セセックのヴェールウィーバー」を挙げますが、ヴェールウィーバーのカードパワーがずば抜けていることがよくわかると思います。数年前と比べて、リソース補給カードはあまりに使いやすく、かつバリューが高くなりすぎました。1枚で大量のリソース補給が可能になるカードはもう少し制限が課せられるべきだと思います。
②レジェンドカードの安定供給
レジェンドカードはデッキに一枚しか入れられないからこそ、特別なパワーが許されています。一枚なので安定して毎ゲーム引くことはできず、一度しか使えないからこそ使用タイミングを見定める必要があるという制限があるからです。しかし、「ワンド職人」「ワンド泥棒」「根源学の予習」「魔力のタネ」「マナサイクロン」といった各種生成カードにより、「天文術師ソラリアン」「魔力喚起」の二枚は毎ゲーム安定して、しかも何度も使うことができます。発見のクラスカード補正が修正されたときのように、この現状は野放しにはできないでしょう。
(6)これからの展望と期待
ハースストーンのRNGは、毎ゲームの展開を異なったものにし、不確定要素のケアでプレイヤースキルが出る、DTCGならではの面白い要素です。特にカード生成システムは、デッキに入らないコレクションの肥やしになっているカードにも存在価値を与える点が今までのカードゲームと違う、素晴らしいシステムだと思います。
ただ、あまりにも強くなりすぎました。
適度なRNGはどこまでケアするかを考えることでプレイヤーの介入の余地を引き出しますが、過剰なRNGはプレイヤーの介入ではどうしようもないという無力感に繋がってしまいます。
今のハースストーンのRNGはどうでしょうか?
人によって答えは違うと思います。
幸い?、公式から「これからはカード生成効果を抑える」といった趣旨の発言がされています。(公式の発言が本当に信用できるのかという問題はこの際置いておきましょう。)個人的にはデッキ外のカードにアクセスでき、しかも自分の意思を介在できる「発見」はとても魅力的ですが、一枚ですべてをひっくり返す「希望の終焉ヨグ=サロン」レベルのRNGは勘弁してほしいところです。
なんだかんだ言いましたが、シャーマンのランダムダメージがなくなったり、「発見」がレギュラー化したり、ハースストーンのRNG要素はどんどんプレイヤーにとって面白い形に変化しています。さらにより楽しく、バランスの取れたRNG要素の登場に期待して、本考察の締めとさせていただきます。
こんなもんプロフ画像にしてるやつが何言ってるんだ???という出オチの話。