これからのヨグ=サロン様の話をしよう

Hearthstoneについての自由帳

ハースストーンカード生成変遷検証その① Generate度数(G度)を添えて

「カード生成効果が多くなり過ぎた、これからはカード生成効果を減らしていくつもりだ」

 

一昔前、こういった趣旨がデザイナーからよく聞かれました。

「発見」に代表されるカード生成効果は今やハースストーンの華であり、デッキ外のカードプールにも意味を持たせるDTCG特有の面白いシステムです。

しかし、それが続くにつれ、いくらなんでも多すぎだと顰蹙を買うようになりました。

ゲームの冗長化、過度のRNG要素等、カード生成効果による不満がユーザーから出るようになり、「カード生成効果は徐々に減らしていく」と明言されるようになりました。

 

 

本当か?

 

 

首なし騎士

インフィニタイズザマキシチュード

シスター・スヴァルナ

 

なあ、ブリザード、信じていいのか?

 

そんな疑問に終止符を打つべく、今回は「カード生成効果は減ったのか否か」を検証するため、歴代拡張のカード生成効果の程度を調べてみます。

単純に生成効果持ちカード枚数を数えるだけではカード生成の量、質がゲームに与える影響を無視してしまうため、Generate度数(G度)というものを開発してみました。

まず、カード生成効果を「カードを新たに生成し手札または山札に加える効果」と定義します。そして、カード生成の質に以下のような点数をつけ、生成枚数を乗することでG度を求めます。

価値なし(1/1やスペアパーツ等)          ・・・0点(計上しない)

ランダム生成やデッキには入らないレベル        ・・・1点

発見やデッキに入るレベル、またはそれに準ずる レベル ・・・2点

特殊パワーカード                   ・・・3点

 

例を上げれば

 

このようにして各カードのG度を算出し、各拡張ごとにその合計を求めて、カード生成効果の変遷をまとめていきます。なお質や生成枚数のブレがある場合は私の独断で決めます。異論は認める。

この算出方法がガバガバなのは百も承知なんで、昔のカード振り返りのエッセンス程度の認識でゆるりとお付き合いいただければ幸いです。

 

ここまでが前置き。

思いのほか前置きが長くなってしまいました。

では実際に歴代拡張のG度を見てみましょう。

 

①原始時代 前期

 

イセラ/Ysera - ハースストーン日本語Wiki HEARTHSTONE MANIAC

 

 

 

ウェブスピナー

ネプチュロン

 

ネファリアン

 

今や当たり前にあふれかえっているカード生成効果ですが、初期のG度は10前後と、非常に珍しい効果でした。それも、イセラネプチュロンネファリオンといったレジェンドカードに許された特別な能力、といった位置づけです。

 

②原始時代 後期

ネクサスの勇者サラード

 

 

イセリアルの召術師/Ethereal Conjurer - ハースストーン日本語Wiki HEARTHSTONE MANIAC

 

グランドトーナメントはカード生成効果が増え、G度は20近くに迫ります。とはいえランダム生成はやはり使いづらく、実際に構築シーンで使用されることはほとんどありませんでした。

リーグ・オブ・エクスプローラは「発見」が登場したセットで、発見の点数をランダム生成の二倍にしてる算出方法のため、アドベンチャー型拡張(現在のミニセットと同等)ながら20超えと、G度に急激な伸びが見られました。

 

③クラーケン年

シャドーキャスター

 

マルシェザール公爵

 


カザカス

「発見」が登場してすぐ大人気になり大量追加される、というわけではなく、しばらくグランドトーナメントと同等のG度の横ばいが続きます。

グランドトーナメント強盗で示唆されたローグの対戦相手クラスからの生成(現在は他クラスからの生成に変更)の定着や、カザカス白眼でついに登場したコレクション可能カードとは一線を画す特殊パワーカード生成の登場など、現在につながるカード生成の特徴が随所にみられます。

 

④マンモス年

『ハースストーン』新拡張「大魔境ウンゴロ」新カード12枚が公開! | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

 

死線の追跡者レクサー

 


ロークデラー

沼地の女王(クイーン・カルナッサ)は算出方法故の一種のバグとして無視するとしても、大魔境ウンゴロのG度の伸びには目を見張るものがあります。あっちにもこっちにもカード生成だらけ。ハースストーンカード生成変遷上の一つの転換期といえるでしょう。大生成時代の幕開けです。

次の凍てつく玉座の騎士団もヒーローカードが初登場したせいもあって高いG度になりました。死線の追跡者レクサーベネディクトゥス大司教虚ろのヴァリーラ死人の手札、と一枚でG度10越えのカードが四枚もある驚異の大量生成拡張になっています(驚異のデッキとかけている)。

 

ワタリガラス

アザリナ・ソウルシーフ

 

狂気の天才ドクター・ブーム

 

呪術司マラクラス

 

ワタリガラス年のG度は三拡張とも40~50で安定しています。マンモス年は一部の大量生成カードが数値を跳ね上げていたことを踏まえれば、ほとんど同じといって差し支えないでしょう。カード生成変遷としては、前年度からの大きな変化は見られません。

この二年で「発見」もすっかり定着し、この頃にはハースストーンの基本的システムとしてでかい顔をしています。死線の追跡者レクサーから始まった無限バリューヒーローカードシリーズに、魔女ハガサ狂気の天才ドクター・ブームと続いてことで、こうした無限バリューが一つの定番となりました。

 

その②に続く

コントロールウォリアー歴代フィニッシャー博覧会

2024年3月29日のパッチノートにより、スタンダードのバランス調整が行われました。その中には、長くコントロールウォリアーのフィニッシャー(盤面を抑えた後、ゲームを終わらせる役割を担うカード)を務めてきた第一任命者オーディンも含まれていました。

 

 

オーディンは歴代で見ても屈指の強さを誇るフィニッシャーで、愛用していた方も多いのではないでしょうか。

今回はそんなオーディンへの哀悼の意を込めて、歴代のコントロールウォリアーのフィニッシャーについての記事です。

フィニッシャーの三要素

①破壊力(出せるダメージ量、バリュー等の相手を倒す能力)

②スピード(ゲームに勝利するまでの速度)

③安定性(構築の容易さや妨害耐性等)

を基準に、歴代のフィニッシャーたちを振り返ってみましょう。

 

 

グロマッシュ・ヘルスクリームアレクストラーザ(クラシック)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆☆☆★

初期のウォリコンは特定のカードに頼るのではなく、バロン・ゲドン炎の王ラグナロス等の高バリューカードたちで押しつぶすのが主でしたが、それでもあえて挙げるとすればこの二枚でしょう。アレクストラーザで相手のライフを15にしてから、グロマッシュ・ヘルスクリームのバーストダメージでコントロール展開から一気にゲームを畳みます。またこれらはそれぞれ体力回復、ミニオン除去と、フィニッシャー以外の仕事をできる点が優秀。

ロングゲームになると絶対勝てない、対ロード・ジャラクサへの貴重な勝ち筋でもありました。



エリーズ・スターシーカー(リーグ・オブ・エクスプローラー)

破壊力  ☆★★★★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆★★★

コントロール対決で真価を発揮したフィニッシャー。

対コントロールではデッキの多くを占める除去や装甲、ドローが無駄牌になるため、それら無駄牌をランダムなレジェンドに変えてバリューでの勝利を目指します。今見ると弱すぎて卒倒しそうになりますが、デッキ外リソースが全然なかった太古のハースストーンでは、これでも貴重なバリューカードでした。

 

クトゥーン(旧神のささやき)

破壊力  ☆☆☆☆★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆☆★★

破滅の招き手による復活を含めると合計50点近いダメージを叩き出す破壊神。

クトゥーンを育てるための専用カードが多く必要でしたが、それらも単体性能で強かったのがクトゥーンウォリアーを成立させた要因です。「クトゥーン本体より双皇帝ヴェク=ロアを使いたい」とはよく言われたもの。シルヴァナスクトゥーンを奪われると破滅の招き手経由の復活ができなくなるので、シールドスラムで自壊させるおしゃれテクニックもありました。

 

ファイアプルームの中心で(大魔境ウンゴロ)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆★★★

新登場のクエストシステムでウォリアーに配られたカード。ラグナロスの武器を手に入れるという設定で、ヒーローパワーがランダム8点ダメージになります。挑発ミニオンを使うとなぜ武器が手に入るのかは不明。

デッキ切れまで耐えることが基本戦術だったウォリコンに中盤から恒常的な攻撃手段が手に入るのは斬新でした。除去と挑発によるアグロ耐性、報酬によるコントロール耐性と一見隙がないように見えるのですが、無敵の対コントロール性能を誇る地底の大洞窟に蹂躙されることになります。

耐えているだけで勝てる対アグロ勝負ではフィニッシャーは不要なため、クエストをマリガンで返すという、クエストデッキらしからぬ一面もありました。

 

狂気の天才ドクター・ブーム(博士のメカメカ大作戦)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆☆☆☆

狂気の天才ドクター・ブーム

ついに登場したウォリアー待望のヒーローカード。デスナイトなんてなかった。

雄たけびがまず強力で、自分のメカはすべて急襲を得ることで、メカ全てを除去として活用できるようになります。オメガ・アセンブリのパワーを底上げし、他の追随を許せない盤面制圧力を誇りました。

ヒーローパワーも毎ターンランダムに選ばれるとはいえどれも強力で、特に「装甲を7得る」「メカを一枚発見する」が優秀でした。オメガ・デバステイターを無限に発見されて無限に除去され続けたのも懐かしい思い出です。

「ゲームに勝つ」というより「ゲームに負けなくなる」タイプのカードなので、フィニッシャーとしての「破壊力」「スピード」は低め。除去性能は圧倒的なのですが、対コンボデッキなどでは無用の長物になってしまいます。

 

爆弾(爆誕!悪党同盟)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆☆★★

 

相手のデッキに爆弾を埋め続けてダメージを蓄積させて勝利する爆弾デッキがここで登場します。爆弾を引きさえすれば、レンチカリバー一枚で4コスト16点というファイアボールも真っ青の驚異のコストパフォーマンスです。武器強化も合わせれば威力はさらに跳ね上がります。

また、次拡張の突撃!探検同盟激闘!ドラゴン大決戦にはハイランダーカード(自分のデッキに重複しているカードがない場合に効果発動)が含まれており、その妨害としても働きました。翌年の灰に舞う降魔の狩人で武器をサーチできる海賊の隠し武器を手に入れて、デッキが大幅に強化されます。

財宝荒らしによる再装備も狙っているので、対策としての武器破壊はまだ許せても、コボルトの棒ドロにはよく完封されました。

 

ラトルゴア(魔法学院スクロマンス)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆★★★

ラトルゴア

実質9コスト55/55のスーパースタッツ。弱点となる沈黙などが環境にほとんどなかったことも追い風で、特に対ウォリコンでは「先にラトルゴアを出したほうの勝ち」といわれる最強カードでした。血盟の傭兵で増えてしまうのも困りもの。ラトルゴアを倒すためだけに鉄嘴のフクロウが使われることもあったりなかったり。

ところで、こいつは基本「ウアアアアアアアア」みたいな鳴き声なんですが、登場ボイスは「ラトルゴアアアアアア」なんですよね。実は喋れるのか、鳴き声がラトルゴアだからラトルゴアと名付けられたのか、気になって夜しか眠れません。鳴き声にしては流暢すぎんか?

 

サイラス・ダークムーン+結魂のアッシュタン+シールドスラム(ダークムーンフェアへの招待状)

破壊力  ☆☆★★★

スピード ☆☆★★★

安定性  ☆☆☆☆★

だれも見向きもしなかったカスカードが、シナジーによって急遽大活躍するのがカードゲームの面白いところ。灰に舞う降魔の狩人で登場していたカスカード結魂のアッシュタンもその一枚。サイラスによって相手にアッシュタンを押し付け、そこに大量装甲からのシールドスラムをぶつけることでOTK(One Turn Kill)を狙います。

サイラスシールドスラムもコンボとして使わなくても優秀で、アッシュタン一枚以外デッキの枠を圧迫せず構築が容易でした。また、サイラスは前述したラトルゴアへの完全対策カードにもなります。

 

メタルの神E.T.C血盟の傭兵+空飛ぶほうき(ダークムーンフェアへの招待状)

破壊力  ☆☆☆★★

スピード ☆☆☆☆★

安定性  ☆☆★★★

血盟の傭兵ETCを増やし、空飛ぶほうきで全員に急襲を付けることで、ミニオン一体殴るたびに増えた分のETCの数だけ能力が誘発しOTKを狙います。前述のサイラスOTKは大量の装甲を必要としましたが、こっちはそういった準備が不要。一方で、相手の場にこっちのミニオンが殴れる相手がいないとコンボが成立しないという欠点もありました。

特にコントロールミラーでは相手の場にミニオンが少なく殴り先がいないことが起こりやすいのですが、その例外がラトルゴア。圧倒的な場持ちの良さが災いし、ETCコンボの格好のお膳立てとなってしまいます。

 

ガルヴァンガー隊長前線に出るぞ!+バトルグラウンドのバトルマスター無貌の操り手(烈戦のアルタラック)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆★★★

前線にでるぞ×2からガルヴァンガーバトルマスター操り手×2と出すことで10コスト54ダメージを叩き出すOTK。当時は風集うストームウィンドで登場した連続クエストによるコンボデッキ環境で、ウォリコンで耐えることは困難な冬の時代でした。「耐えきれないなら先に相手を倒せばいいじゃない」ということで、同拡張で登場した歴代ウォリコン最強AOE氷盾粉砕破氷結バックラーのサポートもあり、久しぶりにウォリコンが復活します。

コンボパーツが6枚と多いうえにフィニッシャーとしてしか使えないという不器用さが玉に瑕。貪り喰らうものミュターヌスガルヴァンガーを食べられでもしたら泣くしかありません。

 

カザカサン(烈戦のアルタラック)

破壊力  ☆☆☆☆★

スピード ☆★★★★

安定性  ☆☆★★★

ドラゴンを事前に4体使用することで、自分のデッキを宝物デッキへと変えることができます。どの宝物が手に入るかランダム要素もありますが、ほとんどが常識の枠を外れたトンデモカードで、そのバリューで相手を蹂躙できます。そのトンデモぶりは、同じランダムデッキ変化のエリーズ・スターシーカーが見たら泡吹いて倒れるレベル。あまりのバリューにイナゴだァーーッ!!!は後に宝物リストから消されてしまいます。

ただ、ランダム要素よりも、イナゴ削除よりも、もっと深刻な問題点がありました。日食野生の心のガフによって、ウォリアーよりも百倍カザカサンを強く使えるドルイドが同環境に存在したことです。

 

巨大スレッシャー・ネリー(深淵に眠る海底都市)

破壊力  ☆★★★★

スピード ☆☆☆☆☆

安定性  ☆☆☆☆★

海賊三枚を発見し、しっぽが壊れたら1コストのそれらを手札に加える超大型界の元祖最強生物。当時はスタンダードローテーション直後で発見カードプールが狭く、ミスター・スマイトを高確率で発見することができ、スマイトがいれば15点前後のバーストダメージへとつながります。3ターン目深淵よりのものから4ターン目ネリーにつなげ、そのままテンポで殴りきるのが当時のウォリコンの最強ムーブでした。コントロールとは?

「海賊のコストが1になる」から「海賊のコストが1減る」という近年珍しい冗談みたいな極大ナーフを食らい、超大型最強生物から最弱生物へと一気に沈没させられます。


第一任命者オーディン(タイタンの目醒め)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆☆☆

安定性  ☆☆☆☆☆

第一任命者オーディン/Odyn, Prime Designate - ハースストーン日本語Wiki HEARTHSTONE MANIAC

今回ナーフされた、ウォリコン歴代最強フィニッシャー。

オーディン最大の強みは構築のしやすさ。オーディンを一枚入れるだけで元来からウォリコンに必要な装甲カードが打点になるので、構築に無駄がありません。その上で、レイザーフェンのロックスターや、永遠の炎イグニスの疾風武器等と組み合わせれば簡単に30点以上のダメージを叩き出します。破壊力、スピード、安定性の三拍子そろった、まさにウォリコン理想のフィニッシャーといえるでしょう。一応挑発や凍結で防いだり、ドブネズミでぶっこぬいたりと対策も出来ますが、歴代フィニッシャーと比べれば些細な弱みです。ナーフもやむなし。

噂によるとナーフされた後も全然使えるそうですね、困ったものです。

 

深層採掘工ブラン+いろいろ(バッドランドの決斗)

破壊力  ☆☆☆☆☆

スピード ☆☆☆★★

安定性  ☆☆☆★★

オーディン亡き?後のウォリコンの未来を支えるフィニッシャー。

アスタラーで24点ダメージを毎ターンバラまいたり、ボカンボスで相手の手札、デッキ、盤面の三点責めを行ったり、大量の触手から日没の斉射を連打したりと、様々なフィニッシュ手段がありますが、悪いのはそいつらではなくブランの方です。雄たけびどもを悪魔に変える諸悪の根源。よく言えば全雄たけびカード希望の星。

こういった様々なカードとシナジーを発揮するタイプは新拡張ごとに悪さできることが増えていくので、そのうちナーフされそうではあります。

ブラン、いや、コントロールウォリアーの明日はどっちだ!?

レジェンド報告に価値はないのか

先日、「レジェンドランク到達の価値が失われた」という言説を見かけた。

 

いわく、現在のハースストーンスタンダードモードにおいてはbotが大量発生している、らしい。botは安価なデッキを使用し、かつ、自動化された動きしかできないのであまり強くはなく、botに大きく勝ち越すことは難しくない、らしい。そのため、以前と比べて簡単にレジェンドランクに到達できるため、レジェンドランク到達が強さの証明の価値を失った、らしい。

 

歯切れの悪い文章になってしまうのは、私自身はbotとの対戦経験がないからだ。

ハースストーンは内部レートでマッチングが調整されている。私も先月のレジェンド順位3000位台と自慢できるほどではない(自慢できるほどではない、って表現使って本当に自慢できないことあるんだ)が、botは当然勝率が低く内部レートが低くなるので、一定以上の内部レートがあるとbotとは当たらない仕様になっている。

 

ただ、botとの対戦経験はなくともbotが大量発生していることに疑いはない。

Twitterでは大量のbotの嘆き節をよく見るし、レジェンド人口の急激な増加もその証左だろう。アジア太平洋スタンダードレジェンド人数はシーズン122(2023/12)で85004人、ちなみに一年前のシーズン110(2022/12)は11005人であり、一年で八倍になっている。中国サーバー閉鎖の影響を考えても増え過ぎである。人間の仕業だけではない。

 


以上を鑑みた上で、「レジェンドランク到達の価値が失われた」と問われれば、私の答えは当然「イエス」だ。

botは人間よりも弱い。botが多いなら勝ち星を稼ぎやすい。この状況ではレジェンドランクの強さの証明という価値は、0になったとまでは言わなくとも、全く下がっていないと言い張るのも空虚に感じる。

 

ここまでが前置き。

ようやくタイトルの話を始めよう。

 

では、「レジェンドランク到達の価値が失われた」なら「レジェンド報告にも価値がなくなった」のだろうか。

この問いに、私は声を大にして「ノー」を叫ぼう。

 

そもそもなぜゲームについてSNSで語る必要があるのか。

多少の違いはあろうが、基本的に目指しているのは共感だろう。

大雑把に言ってしまえば、褒められたい。

 

現代社会でいい年した大人がほめてもらうのは少し難しい。

無条件でほめてもらえるのは幼児か神かぐらいで、私たちはどんなに努力しても幼児にも神にもなれない。仕事をしていてもなかなかほめられないのに、ましてゲームなんかしていてほめられるわけもない。日本チャンプになったからってモテモテになることもない。

 

それなら、せめて同好の士の間でぐらいほめられたっていいじゃないか、と思うのだ。

 

私がブログをしているのも要は褒められたいからである。せっかくならいっぱいいいねが欲しいし、引用RTしてほしいし、コメントしてほしい。

ちなみに残念ながら当ブログはほとんどコメントがない。最新のコメントは2022年1月5日ガフさんに書いていただいた、「ダークムーン・フェアへの招待状 全レジェンドカード事前評価」への「今更来たけど半分以上的外れで草 センスなさ過ぎ」である。補足すると「ダークムーン・フェアへの招待状」は2020年の拡張である。今更過ぎて草。

 

ほめてというにも何かしら理由がいるので、その理由として「レジェンドランク到達」という区切りはうってつけだ。

それに、レジェンドランクが「強さの証明」にならなかったとしても、「それなりにハースストーンを遊んでいる証明」になることは間違いない。そのことが、私は単純にうれしい。自分が好きなゲームを、他の人も遊んでくれているということが単純にうれしいのだ。

 

だから、私は見かけたレジェンド報告ツイートにはできるだけいいねを押そうと思う。

レジェンドランク到達が「強さの証明」足りえないならば、いいねがつくことでレジェンドランク到達の価値を少しでも高められればいいな、と願っている。

 

 

なにより、来週1/19(金)にはミニ拡張「深層究明ディープホルム」が発売される。

 

 

新カードを使ってのレジェンド報告は通常の10倍の価値をもつと一般的に言われている。

 

この機を逃す手はない。


新カードを使ってのみんなのレジェンド報告を楽しみに待ってるぜ!

 

それから、当ブログの最新コメントの更新もお待ちしています。

「バッドランドの決斗」環境 ナーガデーモンハンターデッキガイド

楽しすぎて二日でランク8000→100位まで上げてしまった。

せっかくなのでデッキガイドを書いてみます。

 

今回紹介するのは新拡張「バッドランドの決斗」で登場した新デッキ、ナーガデーモンハンター。新カード「瞑目の狙撃手」をエースとしたコンボアグロデッキ。ナーガ、呪文、ナーガ、呪文、ナーガ、呪文と繰り返すコンボで1ターンで30点以上のダメージすら平気で叩き出すトンデモカードです。

 

 

レジェンド一位報告も多数あり、今最も勢いのあるデッキタイプといっていいでしょう。ついでに、レジェンドカードが一枚も入ってない激安デッキでもあるので簡単に作れるのもいいところ。使っている感じ「瞑目の狙撃手」強すぎて将来のナーフは確実なので、遊ぶなら今!!

 

「バッドランドの決斗」環境 ナーガデーモンハンター

【サンプルリスト】

 

【デッキコード】

AAECAbn5AwKNpQXZ0AUOiLIEmLoE+b8EpeIEq+IExuIEve0ElaoF5OQF4fgFxfkFhY4GhpAGjZAGAAA=

 

【基本プレイ方針】

一目見てわかる通り、「獰猛なスリザースピア」「奇跡の薬売り」「本の虫」といった軽量ミニオンによるビートダウンをしながら、「グレイヴルーペ」「盲目の治安判事」で手札を補充し、隙を見て「瞑目の狙撃手」コンボを叩き込むことがこのデッキの基本プラン……

 

ではありません!!!

 

実際のところ、上記のゲーム展開になることはよくあります。しかし、それはあくまで第二プラン。本命の剣が用意できない場合の、護身用の脇差でしかありません。脇差もそこそこやりますが、それが真価ではありません。侮るなかれ。

 

このデッキが目指す最も強い動きである本命プランは

 

「瞑目の狙撃手」を出して、相手のターンでは除去されず生きたままターンが返ってきて、次のターンにコンボを回しバーストダメージを叩きこむ』

です。

 

例えば3ターン目に「狙撃手」を出して生きて4ターン目を迎えれば、コンボに使えるマナは4マナ。「狙撃手」を同一ターンに出しながらこれだけのマナを用意しようと思えば7ターン目になるわけです。

 

『7ターン目に勝つより4ターン目に勝つ方が強い』

 

簡単な話でしょう?

 

【基本マリガン】

常にキープ

「瞑目の狙撃手」

瞑目の狙撃手

キープできている場合、コンボ始動のための1コストナーガ(「獰猛なスリザースピア」「失敗作」)を1ターン目の展開用とは別に追加キープ

 

・1コストミニオン(少なくとも1枚)

優先順位

「奇跡の薬売り」「よろめくエサゾンビ」「周波数オシレーター「獰猛なスリザースピア」「失敗作」

コストナーガはコンボを回すときに価値が高いので、ナーガ以外で序盤展開ができるのが理想。

奇跡の薬売り

「薬売り」は断末魔で得られる「ヘビの油」「狙撃手」コンボを0コストで回す用、「カラカラのならず者」の起動用、「本の虫」「証拠隠滅」のデッキ戻し用、交換でパーツ探し用と大変便利なため、早めに出しておいてさっさと死んでおいてもらいたい。

 

「本の虫」

本の虫

デメリット持ちとはいえ常識破りのスーパースタッツ。そのデメリットも「グレイヴルーペ」「盲目の治安判事」によって相殺されるのであってないようなもの。現環境は2点、3点の除去が多く、体力4はかなり盤面に残りやすい。

こいつが生き残れば相手は除去がない、こいつに除去を使えば相手は除去が残ってないんじゃないか?、となるのでどっちに転んでも「狙撃手」着地前の安全確認に最適。

 

・(異端で使えるなら)「むら気な賢者」

むら気な賢者

コンボパーツを軽くできるとスーパー強い。

このデッキは0マナがかなり多いのでコスト軽減が0マナに吸われて無駄になってもそこまで気にしないように。そういうもんです。

 

 

基本的にキープしない

「グレイヴルーペ」「盲目の治安判事」

グレイヴルーペ

盲目の治安判事

 

最初に言った通りこれらでパーツを探すのはあくまでも第二プラン。「狙撃手」コンボを早期に決めてゲームに勝つならそれが手っ取り早いです。

ドロー手段が何もなければ早々に手札がスッカラカンになってしまいますが、「狙撃手」含めて6枚のドロー手段は4ターン目までに一枚ぐらい引けると見積もりたいところ。ドローをなにも引けないことを恐れてキープして、ドローを重ね引いて展開力やドローバリューを落とすほうがよくないと考えて私は基本的にはキープしません。

 

【対戦相手ごとのゲームプラン】

①シフメイジ 超有利

【追加キープ】

きれいに消費できる手札がそろっている場合に「グレイヴルーペ」or「盲目の治安判事」(有利なので少し弱めのキープでも事故らなければ勝てるため)

 

シフ

相手の盤面にミニオンを残さず「狙撃手」を置くのが一つ目のポイント。シフメイジの序盤は除去性能が低く、3ターン目に出した「狙撃手」を除去する方法がほぼない。「フレイム・ガイザー」「魔力の矢」の3発は非現実だし、盤面を残さなければ「残響リバーブだけでは除去に至らない。うっかり「本の虫」「フェルの炎もなんのその」で急襲をつけていると「リバーブで除去に使われるので少し注意。

「狙撃手」が序盤から使えないパターンても4、5ターン目の「被造物の秘蔵っ子」はせいぜい3点ダメージで、「本の虫」「盲目の治安判事」を除去するには少し足りないことが多い。できる限り体力4を維持したまま攻め続けよう。

 

パラディン 微有利「決斗!」「プリズムビーム」されたら負け、されなければ超有利

【追加キープ】

・1コストミニオンの複数キープ検討(2ターン目に1コス+ヒロパの動きも強い)

・「獰猛なスリザースピア」「失敗作」の優先順位上げ(体力3がパラディンには強い)

・「イリダン党の予習」キープ(「セキュリティ!!」がこのマッチでスーパー強い)

・後攻時、「フェルの炎もなんのその」キープ検討

 

「狙撃手」「決斗!」で返されると悲しいので、出すにしても2,3回は能力起動できるタイミングで出すのを目指そう。とはいえ展開次第では割り切って出すのも全然OK。持ってなければ勝ちはさすがにリターンが高すぎる。

「決斗!」「プリズムビーム」コンボを避けるには「本の虫」含むミニオン2体ほどで攻めなければならないが、それで「ブギーダウン」「ビュッフェ係のビッグガン」等の横展開に対処できなくなってしまうと意味がないので、無茶なケアはせず持たれたら負けと割り切ったほうが勝率は出る気がする。「プリズムビーム」ぐらいはケアしたいので、できるだけ体力4を維持することと、ミニオン数は3体ぐらいにしてしっかりマナは払ってもらおう。

 

③ドラゴンドルイド 五分

【追加キープ】

「瞑目の狙撃手」キープかつ序盤の展開札もある場合、「フェルの炎もなんのその」キープ

スパインテイル・ドレイク

「狙撃手」をきれいに叩き落とす「スパンテイル・ドレイク」の存在がいやらしい。とはいえ展開が遅いと「ドラゴン・ゴーレム」に蓋をされてしまうので、割り切って出すことも全然あり。「フェルの炎もなんのその」「狙撃手」の体力を6にしてドレイクの射程圏外にするのは非常に有効なため、積極的に狙いたい。

 

④ナーガデーモンハンターミラー 五分

【追加キープ】

特になし

瞑目の狙撃手

 

「狙撃手」を引けないほうの負け。

0コストの除去札が複数あるので、「狙撃手」を出して次のターンまで生き残っていることはほとんどない。そのため出すならそのターンで勝負を決定づけるほどコンボバリューを発揮したい。

しかし、序盤に盤面を取られてしまうと取り返すためには「狙撃手」コンボをスタートせざるを得なくなってしまい、そうなるとカウンター「狙撃手」コンボで負けてしまう。

というわけで、「狙撃手」コンボをしっかり準備するために、実は序盤の盤面がけっこう大事だったりします。

 

ちなみに一番強いのは「狙撃手」二枚引けるやつです。元も子もない。

 

⑤激怒ウォリアー 五分

【追加キープ】

特になし

満力の斧

 

ウォリの序盤の除去性能は弱いので「本の虫」「狙撃手」が生き残って打点を稼ぐのが勝ちパターン。ただいったん激怒ウォリ側が盤面を握ると「満力の斧」で延々強化されていくので、逆転は難しい。

いくらこっちが展開しても「炎の試練」一枚で返されてしまうので、それまでに勝負を決定づけるのを目指そう。

 

⑥疫病デスナイト 有利

【追加キープ】

特になし

沈没する船と共に

 

疫病デスナイトの除去は「沈没する船と共に」「自分で蒔いた種」と3点ダメージしかないので、盤面さえ抑えれば「狙撃手」が除去されない。3ターン目「狙撃手」でイージーウィンを狙う。

ただ、それができない場合はデッキを掘り進める分疫病をたくさん引くことになり少々厄介。「凍結の疫病」でコストが上がっているときでも「踊り食い」はなぜか0コストで使えるので豆知識として知っておこう。

HS歴代メカニズムを振り返る ツイスト記念新時代編 後半

前回の続きから

 

⑥烈戦のアルタラック

 

「ヒーローカード」 ゲンバク値5

 

 

 他のカードとは一線を画す人気のあるメカニズム。これからもマンネリにならない程度に定期的に登場するのは間違いない。

 「アルタラック」のヒーローカードの特徴として、今まで多かった無限リソース系のヒーローパワーがなくなった。以前から度々言及されてきた「カード生成効果を減らしていく」という方針が有言実行された形だ。お互い無限リソースの投げ合いになって泥仕合が続くのも、無限リソースのある側がコントロールデッキを蹂躙するのも辟易としていたので、この変更は歓迎したい。ブリザードの気遣いに感謝。

 ヒーローカードは、良くも悪くも環境を一変させるパワーカードである。その影響力を考慮して環境に居座る期間をできるだけ短くしようとしているのか、最近は年の最後の第三拡張に登場するようになっている。再び、ブリザードの気遣いに感謝。

 ちなみに、ヒーローカードの登場は大きく分類して今回で4回目。

0回目? ウォーロック専用(ロード・ジャラクサス) 

1回目 「凍てつく玉座の騎士団」 全クラスに追加

2回目 拡張で一枚ずつヒーローカード登場 シャーマン(ハガサ)、ウォリアー(ブーム)、ハンター(ズルジン)、メイジ(レノ) 

3回目 「激闘!ドラゴン大決戦」 シャーマン、ウォリアー、ローグ、プリースト、ウォーロック(ガラクロンド)

4回目 「烈戦のアルタラック」 全クラスに追加

 ジャラクサスは太古の存在なので例外として、シャーマンとウォリアーのみ、最大回数の4回ヒーローカードが登場していることに注目したい。この2クラスはデッキ構成によってヒーローパワーが腐りやすいので、それをヒーローカードで補おうとしてくれているのが分かる。またもや、ブリザードの気遣いに感謝。

 そもそもシャーマンのヒーローパワー変えたほうがいいんじゃないか?

このネタって全国で通じる?

 

「武勲」 ゲンバク値9

 

 武勲のダメなところはおおむね前回の逆上と同じ。

 ミニオン同士のトレードの駆け引きを前提としたメカニズムだが、除去が多い+コンボ環境だったことから満足に働く機会はなかった。逆上と違いミニオン以外にも搭載できる能力なので、武器や呪文の武勲はそこそこ活躍したものの、全13枚の武勲持ちミニオンの死屍累々ぶりは低評価を決定づけるのに十分すぎる。

 細かいダメージの調整ができるデーモンハンター、メイジ、ローグあたりはまだしも、他のクラスにはそもそも達成難易度が高すぎた。

 

⑦深淵に眠る海底都市

 

「超大型」 ゲンバク値3

 

 

 手放しでほめたい素晴らしいメカニズム。

 ミニオンのイラストを複数のカードで表現することで、巨大なミニオンの圧力が一目で伝わる視覚的な魅力。複数のカードが有機的に絡む独特な能力を表現できるゲームデザイン的な魅力。文句のつけようがない。

 バフ/ナーフを経て、超大型の全カードが活躍できたことも加点ポイント。

 ヒーローカードと同じように、特別感が大事なので頻出するわけにはいかないのが唯一の欠点。

 再登場に期待。

 

「海底探査」 ゲンバク値3

 カードゲームの魅力の一つに、「プレイヤーの意思決定によってゲーム展開が作られる」という部分がある。そのために選択肢が増えるドローは古今東西あらゆるカードゲームで重宝され、HSでは「発見」が大活躍した。しかし、ドローが多すぎるとコンボデッキが世界を蹂躙するし、「発見」は優秀なメカニズムだがさすがに増やしすぎて顰蹙を買いだした。

 その問題の答えとなるのが海底探査だ。プレイヤーに意思決定の機会を与えながら、「ドロー」「発見」の問題点を解消することに成功している。選ぶカードの種族、コストなどを参照することで、デッキ構築に指針を与えることもおもしろい。

 ただ、再登場に向けての懸念点が一つだけ。日本語訳時に本来なかった「海底」という単語を加えたことによって、「海底都市」だけで言えばいい味が出ているファインプレーなのだが、再登場時に違和感が出てしまう翻訳陣痛恨のミス。「腐敗の死霊術師」が海底探査というのはちょっと無理がある。

 

 

⑧ナスリア城殺人事件

 

「場所」 ゲンバク値2

 

 

 「アルタラック」の攻略目標シリーズ(「ワイルドポーの洞窟」「ダン・バルダーのトーチカ」等の3ターン継続する呪文)の転生した姿。

 攻略目標は3ターン連続で自動起動するため、ミニオン展開やドローは強力な一方、除去や他のカードとセットで使いたいコンボ向け能力は使いづらいうえ、対象を選べないのでデザインが非常に制限された。

 それと比べて場所は「任意のタイミングで起動できる」「対象を選べる」「耐久値の調整ができる」とデザインの幅が大きく広がった。毎ターンの連続起動ができないという制限も、強力になりすぎないちょうどいいものだった。

 

 

「吸魂」 ゲンバク値7

 

 ミニオンを並べることを前提としたメカニズムという点で「逆上」「武勲」と似た趣がある。前述の二つは基本的に相手のミニオンを条件としている点がだめだっだが、吸魂は自分がミニオンを出すだけでよい。この違いは大きい。

 単純にミニオンを並べているだけでは吸魂に困ることも少なくなく、一枚で複数展開できるカードを持っているかで使いやすさに大きな差が出る。その点がクラス格差へとつながってしまうのはケチの付け所か。「オニクシアの鱗」で簡単に「デナスリアス陛下」「貪食のデヴォーラー」の吸魂を稼げるのは少々理不尽に感じたものだ。

 

⑨リッチキングの凱旋

 

「死体」 ゲンバク値1

死体爆裂

 新クラス「デスナイト」のクラス特性として登場したメカニズム。

 まず、フレイバーとして単純にわかりやすいのがいい。死んだミニオンを利用して効果を得るというのは直観的にわかるし、クラスのイメージにもあっている。「霊視力」が手札の端から使ってなぜ二枚引けるかはイメージできないが、「死体爆裂」が死体を爆発させて死体の数だけダメージを与えるのはすぐに納得できる。

 プレイデザインにおいて、コストや能力だけでなく死体数でバランス調整ができるのも悪くない。

 

「マナ渇望」 ゲンバク値4

 マナ渇望コストまでマナを持っている場合にメリットがあるメカニズム。序盤は弱く、中盤以降に強くなる、ランク付き呪文と同じ方向性。環境で悪さをしない優等生なメカニズムである。マナ渇望を達成しているとカード枠が光るので、ランク付き呪文よりも見た目でわかりやすく、プレイ・アビリティはよし。

 死体と同様に、コストや能力だけでなくマナ渇望コストでバランス調整ができるのは悪くない。「アスタラー・ブラッドスォーン」と「フェル全開」はマナ渇望コストのナーフによってかなりマシになった。コストや効果の変更はカードパワーを極端に左右してしまうことが多く、こういう細かな調整ができることは大変好ましい。

 

⑩集え!レジェンド・フェス

 

「フィナーレ」 ゲンバク値6

 マナをぴったり使い切ることを強いられるほんの少しだけ不自由なシステム。不自由とはいってもコスト通りのタイミングで使う分には何の問題もないので「魔法活性」「変妖」の不自由さと比べると天と地の差がある。サポートカードが必要なわけでもない。

 「インフィニタイズザマキシチュード」のような発見効果にフィナーレがついているのはちょっと面白い。フィナーレで使うとマナが残っていないので、今発見したカードで現状を解決することができない。フィナーレの発見は将来必要と予想されるカードを予め発見しておく必要があり、適度なジレンマを与えてくれる。

 フィナーレ自体に大きなマイナスポイントはないが、使って特段面白いわけではないので評価自体は中程度。

 

「過回復」 ゲンバク値10

 コアセットに入っているのでしばらく登場が続くだろうが、メカニズムとしてはかなり弱い。「マルシェザールのインプ」「グルダンの手」がない頃の破棄ウォーロックや、初期の凍結シャーマンを彷彿とさせる。

 今までさんざん言ってきた通り、他のカードのサポートが必須なメカニズムは評価が落ちる。メカニズムカード、サポートカードともに、そろわずに手札で腐るリスクがあるからだ。サポートである回復能力はそれ単体で働かないことも大きなマイナス。逆上サポートの「ガーディアン改造屋」は逆上と合わせなくても強力だったからこそ採用できた。

 プリースト使いは、使われない過回復カードと使われない過回復サポートカードに貴重なクラスカード枠を奪われる未来に怯えるがいい。試しにウォーロックの歴代破棄カードを見てみれば、そこに積みあがるガラクタの山に言葉を失うだろう。破棄したいのは手札じゃなくてお前の存在だよ、と言いたくなるカードばかりだ。

 過回復が活躍するには「グルダンの手」「降雪の守護者」のような世界を塗り替えるレベルのパワーカードが必要となる。

 

HS歴代メカニズムを振り返る ツイスト記念新時代編 前半

(1)メカニズム評価値「ストーム値」について

 

 突然だが、トレーディングカードゲームの元祖であるMTGマジック・ザ・ギャザリング)において、「ストーム値」という概念があるのをご存じだろうか。

 

「ストーム値」とは、特定のメカニズムがスタンダードに再登場する可能性を評価した数値である。

簡単に言えば、

・「このメカニズムいいやん! 何回も登場させよう!」

 →ストーム値1(最高評価)

・「このメカニズムあかんやん! 二度と出てくるな、おバカ!」

 →ストーム値10(最低評価)

という、メカニズムの良し悪しを評価するものだ。

 

 ハースストーンでいえば、「ストーム値1」には「急襲」「生命奪取」「発見」等が挙げられるだろう。

レギュラーメカニズム ストーム値1


 ちなみに「ストーム」とはMTGで最も再登場がありえないメカニズム(ストーム値10)の名前からとられているので、せっかくなので今回はHS版の呼び名に変更する。

 

おそらく名称に異論はないだろう。

 

 HS市場最悪のメカニズムの名前を借りて、「ストーム値」あらため「ゲンバク値」を使って、新モード「ツイスト」環境のカードプール「新時代」のメカニズムを振り返っていくのが本稿のテーマとなる。

二度と見たくねえ ストーム値10

 

(2)メカニズム評価

 

ストーム値は以下の5つの評価基準から総合的に判断して決められる。

  • 人気/Popularity - プレイヤーがそのメカニズムを気に入ったか。
  • デザイン空間/Design Space - そのメカニズムで作れるカードの枚数に余裕はあるか。
  • 多用途性/Versatility - 他のメカニズムとの相性は良いか。そのメカニズムを使うためには多くのサポートが必要になるか。
  • デベロップ/Developmentプレイデザイン/Play Design - そのメカニズムのコスト設定や、バランスの調整は難しいか。
  • プレイアビリティ/Playability - そのメカニズムをプレイヤーが理解する上で問題はなかったか。使用する上で物理的な問題はなかったか。

ストーム値 - MTG Wiki

 

 以上の評価基準に沿って、「灰に舞う降魔の狩人」~「集え!レジェンド・フェス」に登場した新メカニズムを評価していこう。本家ではそれぞれの基準で一つずつ評価するのだが、それで書いてみたら非常にかたっ苦しく疲れてきたので、ふわっと触れる感じで進めていくことにした。なので、上記の基準もふわっと読み飛ばしてふわっとついてきてくれるとありがたい。

 

①灰に舞う降魔の狩人

 

「異端」 ゲンバク値2

霊視力

 

 手札の並びを参照するというのは今までのHSにない画期的なシステムだった。考えることが増え、プレイに選択肢が生まれ、ほどよいジレンマをプレイヤーに与えてくれる。多少の制限はあるが、基本的には「異端」のボーナス効果で使えることが多い。

 ボーナス効果は、基本的に使っていて気分がいい。

 デザインの観点でも、「異端」でボーナス効果をつければいいだけなので、特に制限はない。開発者にも優しいメカニズム。

 強いて言うなら、コストが重いとデッキトップから引いても右端から「異端」で使えなかったり、他の「異端」を左に寄せるのが難しかったりするので、通常のカードよりもコスト増減によるカードパワーの振れ幅が激しいことが難点か。「霊視力」などのコストの軽いカードは初登場からずっと使われているが、コストの重いカードはなかなか活躍できないのが現状だ。

 

「休眠」 ゲンバク値6

封印されしフェルモー

 

 「休眠」は基本的にデメリットであり、「休眠」のせいで負けた、というパターンが少なからず存在する、ストレスになりうるシステムだ。もちろん、デメリットを補うだけのポテンシャルを持っているのだが、人間はメリットよりもデメリットに目が行ってしまう。

 「休眠」はミニオンが盤面に干渉するのが遅れるメカニズムなので、その能力によってそのデメリットを補完する必要がある。「急襲」「挑発」「休眠明け時の除去能力」等が代表的。逆に言えば、それ以外で使われるような「休眠」のデザインは非常に難しく、デザインは実質かなり制限されている。

 最初から休眠で登場するタイプは使いづらいので、再登場するにしても、初代休眠の「死体花シェラジン」、最新休眠の「ソーリべローレ」のように、メリットとしての「休眠」が基本となっていくだろう。

これからの「休眠」のスタンダード

②魔法学院スクロマンス

 

「デュアルクラス」 ゲンバク値3

ジャンディス・バロフ

 

 異なる二つの要素が合わさるという時点でまずかっこいい。光と闇が合わさり最強に見える。

 デュアルクラスの組み合わせ自体はまだまだあるので、デザイン空間は有り余っている。「デュアル種族」が生まれたこともデザイン上は追い風。例えば、悪魔マーロックにするだけで簡単にシャーマン・ウォーロックのデュアルクラスカードが作れる。

 2クラスで使える分、デュアルクラスのパワーカードは2倍活躍してしまうという懸念もあるかもしれないが、個人的には大いにパワーカードが生まれてほしい。万能なパワーカードは様々なデッキを成立させる下地となってくれる。

 

 

「魔法活性」 ゲンバク値9

ペン投げ野郎

 

 確実に活用するためには呪文と同時に使う必要がある、不自由なメカニズム。

 「スクロマンス」には魔法活性用に軽く使いやすい呪文が多く採用された。つまり、魔法活性のために他のカードデザインが制限されたと言うこともできる。また、呪文の得意不得意はクラス間での差が大きく、クラス格差を助長する要因にもなってしまう。

 必要条件が多いメカニズムはあまり好ましくない。

 

③ダークムーン・フェアへの招待状

 

「変妖」 ゲンバク値7

怪力男

 

 先に重いカードを使っておくことでボーナスが得られるので、マナコスト通りには使いづらい不自由なメカニズム。

 変妖単体で見れば不自由ではあるが、コストの重いカードへの動線となっていることは評価しなければなるまい。「怪力男」に代表される変幼カードがあることによって、本来使いづらいコストの重いカードの価値を高めている。「ダークムーン・フェア」は10コストの「旧神」をテーマにしたセットなので、それらの重いカードが使われるようにする役割は果たしたのではないだろうか。

 とはいえ、手札に変妖できない「チケッタス」を抱え枕を濡らした夜を思えばあまり手放しに称賛するわけにもいかない。

 

④荒ぶる大地の強者たち

 

「逆上」 ゲンバク値8

剣匠サムロー

 個人的に今まで挙げた中で最も存在感の薄いメカニズム。

 お互いミニオンを盤面に並べ合う闘技場のような環境だと単純に使ってジレンマや駆け引きが生まれるのだが、優秀な除去の多い構築ではサポートが必要な手間のかかるメカニズム。次拡張の「ストームウィンド」を含めて当時のスタンダードがコンボ環境で、ミニオン同士のトレードが主流じゃなかったことも逆上には逆風だった。

 登場時は「狩人」にいた「改造屋」シリーズが優秀なサポート役を果たしていたものの、それらがスタンダードから落ちると途端に起動は難しくなってしまう。

 根本的なことを言ってしまうと、やっていることは昔からある「激怒」と同じで、そもそも面白みがない。

 



「ランク付き呪文」 ゲンバク値4

氷風(ランク1)

 

 序盤は弱く、中盤以降に強くなる。こう見ると環境で悪さをしない優等生なメカニズムである。だいたいランク2(5~9マナ時)で使うので、ランク2が基本性能の普通の呪文のイメージでしかない。ランク1の「邪道刺し」をうっかり4点ダメージのつもりで使ってしまった私のような人も多いのではないだろうか。重箱の隅をつつくようではあるが、ランクが上がって絵柄は変わるもののそれだけではちょっとわかりづらく、プレイ・アビリティは多少悪いか。

 ランク付き呪文がスタンダードに帰ってきて喜ぶ人もいなければ、嫌がる人もいないだろう、そんな存在。寿司で言えば穴子。異論は認める。

 

⑤風集うストームウィンド

 

「連続クエスト」 ゲンバク値3

最後の決闘

 開発陣お気に入りクエストメカニズムが三度目の登場で進化した姿。

 クエストは達成報酬をもらうまでは1マナ+手札1枚を損しているので、早々に達成しないと損をしている期間が長く、使い勝手が悪いという欠点を持っていた。

 連続クエストは中間報酬があることで、最初の損を速やかに回収することができる。その上で最終達成は難しいので最終報酬にド派手なものを用意できるため、デザインの幅も広がった。

 今までの傾向からしておそらく来年あたりにクエストは採用されるだろうが、その時は間違いなく連続クエストの形をとるだろう。間違っていたら桜の下に埋めてもらっても構わないよ。

 

「交換可」 ゲンバク値1

腐り錆びのクサリヘビ

 

 手札と盤面が噛み合わない。カードゲーマー永遠のストレスをちょっぴり軽減してくれる優しいやつ。ハースストーン界のバファリン

 また、特定の状況や対戦相手にだけ強いメタカードは手札で腐ることを嫌ってなかなか採用されないが、交換可がついていると採用ハードルはぐっと下がる。いらなければ交換してしまえばいいのだから、手札で腐って敗因になることはない。こうしたメタカードがあると特定のデッキが環境で暴れることを抑制できるため、環境のバランスを保つためには存在するだけですばらしい。ハースストーン界の安全弁。

 



ここまでで折り返し。

後半へ続く。

月末ラダー挑戦記 2023.4月シーズン 87位フィニッシュ

前回ガイド書いたデッキで結果出したらかっこよくね?

と思って月末ラダーに挑戦した敗北者の軌跡を振り返ってみよう。

 

主な仕様デッキはもちろん異端デーモンハンター。

beerbrick.com

 

4/24 69位→26位

 

強すぎて笑いが止まらん。

この日は青デスナイトの全盛期だったが圧勝に次ぐ圧勝で一生カモにしてた。

「フロストワームの憤怒」が来る前に盤面を大きく取り返して大打点を与えるor打点が間に合わなければ「剛腕の襲撃者」をフロストワームの除去に温存し「サセーノ」コンボを叩きこむプランが完璧に機能した。

赤デスナイト相手も前回ガイドに書いたプランで完勝。

ドルイドは言わずもがなでカモ。

有利マッチしか存在しない最高にハッピーな一日でランクを駆け上がり、月末ラダーへの挑戦権を獲得する。

 

4/25 29位→25位

昨日はさすがに出来過ぎだったようだが、悪くはない。

環境に存在するほとんどは青デスナイト、赤デスナイト、ドルイド、デーモンハンターの4デッキで、両デスナイト相手に五分はあり、ドルイドに大有利がついてる状況。

回せば回す分だけ(ドルイドに当たる分だけ)確実に勝ち星は増えていくので、異端デーモンハンターは握り得な最強デッキであるのは間違いないようだ。

この調子なら明日には10位台には手が届くだろう。

なんだ、月末ラダーなんて大したことないな、楽勝だぜ。

 

4/26 21位→37位

どうしてこうなった……

最大の敗因は対赤デスナイト戦でぼこぼこにされたこと。

デッキトップ20枚に「グレイヴター」がないことの連続で勝てるはずもない。

ちなみにドルイドに2敗してるのはスペルデーモンハンターに浮気していたため。

スペルデーモンハンターもデッキトップ20枚にトークンカード一枚も引けずに「罪人の烙印」が腐って負けたりしてこの日は何もかもダメ。

まあたまにはこんな日もあるだろう。

 

4/27 41位→91位

どうしてこうなった……

あれだけカモにしていた対青デスナイトも勝てなくなってしまった。

そもそもあの勝てたときはプランの問題じゃなく引きよかっただけでは説も出てくるが、おそらく原因は「ポジック」。

 

音響エンジニア・ポジック

こいつが青デスナイトに基本採用されるようになり、フロストワームの憤怒が来る前に盤面を取り返すプランの難易度が跳ね上がってしまった。今までの4ターン目が「ナーガ校の先生」だったことに比べて、盤面の維持力が高すぎる。勘弁してくれ。

 

また、不利デッキであるスペルデーモンハンターが台頭してきたことも逆風となっていると感じた。

 

4/28 84位→140位

 

もしかして、実力か?

 

 

勝てなさ過ぎてデスナイトとドルイドに浮気して、浮気デッキでは全敗しているあたりが芸術点が高い。デーモンハンターではしっかり勝ち越せているというのに何やってんだこいつ……。

月末ラダー落伍者のお手本として教科書に乗せたいような戦績。

 

4/29 129位→60位

流れ変わったな。

 

デーモンハンターは相変わらずドルイドに当たった分だけ貯金を稼ぐいつも通りの戦績。

スペルデーモンハンターが増えてきたので、その対策に30枚赤デスナイト試しに作ってみた。対面の40枚赤デスナイトがピンポイントで必要なカードを引けているのが私には不思議で仕方がない。

狙いが当たりスペルデーモンハンターをぼこぼこにすることに成功する。

この勝率が続くなら最終日ワンチャンあるのか!?

 

4/30 63位→85位

さすがに人生そううまくは行かない。

結局赤デスナイトは相手にきれいに回られると厳しいなって感想でした。

ドルイドの獄吏王にパッチウァーク当てまくって勝ち越したりもしてるので文句は言えぬ。

 

 

無事ラダーポイント1ptゲット。

来月の私はもっとうまくやるでしょう。